10-2
真剣狩る☆しおん♪一行は、奇術師の案内のもと――
デルタイリアよりもさらに遠い地。
ゴルドランドへ向かっていた。
なぜそんな辺ぴな地へ向かっているかと言うと――そこに妖精の羽を欲しがっている人達が居るからである。
奇術師に指定された場所で飛行艇を着陸させたのはいいが……
肝心の目的地までは、まだまだ距離があった。
辺り一面、草木はほとんど生えていない。
どこまでも茶色い景色が続く荒野。
砂漠とまでは言わないが、かなり殺風景な所である。
「実は。黄色君。基本的に、ここら辺に居るザコモンスター倒せるくらい強い人じゃないと会ってくれないんですよね」
「はぁ!? 聞いてないわよ!」
あまりにもいまさら過ぎる奇術師の発言に、みらいが反射的に食ってかかっていた。
「って! ただ、妖精の羽売ったら終わりじゃなかったの!?」
もちろん、刹風も食ってかかっていた。
そんな状況だと言うのに、龍好と栞は見える範囲でモンスターのレベルを確認し始めている。
レベルは高いがザコはザコ。
やってやれないことはないと、確信していたからだ。
「まぁまぁ、そう怒らないでくださいよ。ボクとしては、相応の見返りを用意できると判断して言わなかっただけなんですから」
「つまり、確信犯だったと言うわけね!」
「えぇ。みらい君がいまだに初級の杖を使っていたり、刹風君が安物の短剣ばかりを使っているのもどうかと思いましてね」
「いいでしょ、別に! これだって、それなりに戦えてるんだから! 実際、妖精の羽だってそれなりに集めてきたわけだし」
「ですが、良質な物は相応の仕事をしてくれるものです。例えばこれなのですが……」
奇術師は、黒い宝珠の付いた賢者の杖を取り出して見せる。
その、あまりにも凄すぎる性能に、みらいは、目を丸くして驚き。
刹風は、いったいいくらで売れるんだろうか?
値踏みをしていた。
「これも、黄色君が作った作品でして、なかなかのものでしょう?」
「えぇ。確かに……これなら下手にレベル上げるよりも効率的かもしれないわね」
みらいなりに思うところがあり。
金に物を言わせて高級な武器を手にしてこなかったわけなのだが……
その考えを一蹴するくらい賢者の杖は高性能だった。
正直なところ、心が揺れていた。
討伐対象が強いと分かっているからこそ。
武器に頼らず自力を付けた上で相応の武器を調達しようと考えていたのだ。
しかし、これほどの物ならば格段にレベルが上げやすくなる。
考えようによっては、こちらが正解なのでは?
そう思えてしまう程に圧倒的だった。
「実際に本格派で上を目指すのであれば相応の武器を持ってしかるべきだとボクは考えています」
「確かに、正論ね……」
「ちなみに、どうしても嫌だと、おっしゃるのであれば、ここから先はボク一人で行って妖精の羽だけ売って戻ってきます」
「事前説明がなかった件については、まだ頭にきてる部分もあるけれど……そうね、貴方の考えが正しいと判断するわ」
「ありがとうございます。刹風君はどうですか?」
「や、私、そんなにお金持ってないわよ!」
「そこは、ほら。妖精の羽を売ったお金でなんとかなると思いますよ」
「えぇ! 妖精の羽ってそんなに高く売れるものなんですか!?」
「基本的には、それほどの物ではありません。ですがここまで輸送するとなると、それなりの値段になってしまうものなのですよ」
「そっか。逆に考えたら、自分達で取りに行くにしても、相当な時間かかっちゃうから。結局は、多少高くても買うしかないのね」
「はい。まさにその通りなのですよ。ということで――お二方の武器を新調するためにもやる気になっている方々の背中を追いたいと思うのですがいかがでしょうか?」
すでに龍好は、手近なところに居る大型モンスター。
とんでもなく大きなチューリップもどきめがけて戦闘態勢に入っていた。
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