いわゆる日常生活 3

「そろそろ休憩でも入れるか」


 昼になりアシノが言うと、ユモトはよろよろと歩いて木に寄りかかって座りこみ、はぁはぁと吐息を漏らしていた。


 春先だが思い切り魔法を沢山使ったせいで汗もびっしょりとかいている。


 モモはルーとアシノに礼を言った後で家の中に入り椅子に座った。ユモト程ではないが疲れで息が上がっている。


 ルーは流石に先輩冒険者らしく、息1つ切らさずにピンピンとしていた。


「お兄ちゃん」


 ヨーリィはムツヤの部屋をノックする。中から「入っでぎていいよー」と声がしたので扉を開けた。


「お昼ご飯が出来たので呼びに来ました」


「おーありがと」


「それと魔力の補充をお願いしたいのですが」


「良いよ、おいでヨーリィ」


 ムツヤは椅子に座ったまま1つ背伸びをして立ち上がる。するとヨーリィがトコトコと近づきギュッと手を握った。2人は手を繋いだまま食堂へ向かう。


「あっ、ムツヤさーん。お待ちしてました」


 ユモトは手を振りムツヤを呼んだ。ルーとアシノは一足先に昼食のサンドイッチを食べていた。


「お待ちしてました、ムツヤ殿」


 そう言ってモモは立ち上がる。食事に手を付けずに待っていたらしい。


「あれ、モモさん先に食べていてもらって良かったのに」


「いいえ、従者が主より先に食事をするわけにはいきませんので」


「そんな事気にしなぐでいいのにー」


「そうよー、モモちゃんは真面目なんだからー」


 もぐもぐと食べながらルーが言った。全員が椅子に座るとユモトとモモも食事を始める。


「ところでムツヤっちー? 裏の道具の探知は調子どうなの?」


「そうでずね、魔力を調整して結構遠くまで見渡せるようにはなりましたが」


 ムツヤは板をルーに見せた、それをルーは身を乗り出して覗き込む。


「ふーん、大体半径30km圏内ってところかな、っていうか凄いわねこれ」


 裏の道具とムツヤの魔力の使い方に関心をしたルーと興味なさげに覗き込むアシノ。


「取り敢えずそれで監視しときゃ不意打ちを食らうことは無いってわけか」


「そうみたいね」


 アシノは1つあくびをして眠そうにしていた。


「私は昼寝でもしてくるかな。ユモト、飯うまかったぞ、ごちそうさん」


「あ、はい! ありがとうございます!」


 アシノは立ち上がり、自分の部屋へと向かっていく。ルーは横目でユモトを見てニヤリと笑った。


「午後はユモトちゃんに魔法を教えてあげようかな。さっき横目で見てたけど、気になった所があるからさー」


「良いんですか!? よろしくお願いします!」


 嬉しそうにユモトは返事をする。しかしそれだとモモの手が空いてしまう。


「モモお姉ちゃん、私と戦ってみる?」


「そうだな、よろしく頼むヨーリィ」


「それじゃ俺はまたこの板の調整をしてみまず」


 全員また午後の予定は決まったようだ、食器を片付けそれぞれ訓練を開始した。


「あー、雷の魔法はね、何かこうピューって出してからズババババーンって感じなのよ」


「は、はぁ」


 ルーから指導を受けていたユモトだが、ルーのアドバイスに困惑していた。


 彼女は素晴らしい魔道士でもあったが、直感的な性格らしく教えることはあまり上手ではないらしい。


「ほら、ピューって出してズババババーン!」


 そこから少し離れたところではモモとヨーリィが戦っている。ヨーリィは2、3回体を切られても大丈夫なのでモモは裏世界の剣と盾を持ち、ヨーリィは木のナイフで応戦をしている。


 ヨーリィが放つ木の杭を身をよじり、飛んでかわすが、その着地点で1本肩に当たってしまった。


 先が丸めてあり、鎧の上からとはいえど、カァンという高い音と共に結構な衝撃が伝わる。


「お姉ちゃん、相手が魔物だったらその避け方でもいいけど、飛び跳ねるのは着地点を狙われて危ない」


 今まで剣を使った白兵戦の訓練はしてきたが、ヨーリィのような相手と戦う機会が無かったモモは自分の未熟さを再認識した。


「次は近付いて戦う、いくよ」


 ヨーリィはそう言ってタタタッと走り寄ってきた。横薙ぎに振る木のナイフをモモは盾を構えて受け止める。


 やがて、すっかり辺りは暗くなり、皆が家に戻りくつろいでいた。特訓で汗をかいたモモとユモトは順番に風呂へ入り終え、今は2人で夕飯を作っている。


 ルーはまた地下室へ籠もり、アシノはソファーでくつろいでいる。その向かいのソファーではムツヤとヨーリィが手を握り、肩を寄せ合って眠っていた。


「あー、雷の魔法はね、何かこうピューって出してからズババババーンって感じなのよ」


「は、はぁ」


 ルーから指導を受けていたユモトだが、ルーのアドバイスに困惑していた。


 彼女は素晴らしい魔道士でもあったが、直感的な性格らしく教えることはあまり上手ではないらしい。


「ほら、ピューって出してズババババーン!」


 そこから少し離れたところではモモとヨーリィが戦っている。ヨーリィは2、3回体を切られても大丈夫なのでモモは裏世界の剣と盾を持ち、ヨーリィは木のナイフで応戦をしている。


 ヨーリィが放つ木の杭を身をよじり、飛んでかわすが、その着地点で1本肩に当たってしまった。


 先が丸めてあり、鎧の上からとはいえど、カァンという高い音と共に結構な衝撃が伝わる。


「お姉ちゃん、相手が魔物だったらその避け方でもいいけど、飛び跳ねるのは着地点を狙われて危ない」


 今まで剣を使った白兵戦の訓練はしてきたが、ヨーリィのような相手と戦う機会が無かったモモは自分の未熟さを再認識した。


「次は近付いて戦う、いくよ」


 ヨーリィはそう言ってタタタッと走り寄ってきた。横薙ぎに振る木のナイフをモモは盾を構えて受け止める。


 やがて、すっかり辺りは暗くなり、皆が家に戻りくつろいでいた。特訓で汗をかいたモモとユモトは順番に風呂へ入り終え、今は2人で夕飯を作っている。


 ルーはまた地下室へ籠もり、アシノはソファーでくつろいでいる。その向かいのソファーではムツヤとヨーリィが手を握り、肩を寄せ合って眠っていた。

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