一番てっぺんに! 8

「おい人間、こんな時間に何故ここにいる」


 ムツヤは夜の闇に包まれて月明かりに照らされていた。


 気を失っていたはずだがその足はしっかりと大地を踏みしめて立っている。


 そんなムツヤの周りを緑色の肌をした人が囲んでいた。相手は今にも斬り殺さんばかりの殺気を帯びていた。


「あ、え、あーっと、は、はじめましで私はムツヤと言います」


「貴様ふざけているのか」


 あれとムツヤは思う。


 言い方がおかしかったのか、原因は分からないがどうやら相手を怒らせてしまったらしい。


「いいか、質問をしている、何故ここに居る」


 目の前の緑色の人間がそう言った。緑色…… ムツヤは目の前の人間をじっと見る。


 変な形の耳と少し低めの鼻と、下顎から覗く牙。もしかして


「わかった、オーグだろ、オーグ!」


「だからどうした、また貴様はオークを醜いと殺しに来たか?」


 醜い? 確かに緑色だが胸にはサズァンに負けずとも劣らぬ塊が付いているし、顔もモンスターっぽくはない。


 それ故に、特に醜いと言った印象を目の前の一人には抱かなかったが、その両隣はどう見ても豚のお化けのようだった。


 と言ってもムツヤはその『豚』も小さな頃に絵本でしか見たことが無かったが。


 オークと言ったらムツヤの印象にあるのは1つだ。


 外の世界の本で何故か知らないがよく女騎士を襲って「っく、殺せ」と言わせ、その後色々と、色々とするモンスター。


 もしくは、その状況に冒険者が割って入り助けると、ハーレムに女騎士も加わる展開になるアレ。


「えーっと、アレでずアレなんですよぉ! 私はえーっと別の場所って言ったらいいのがなー…… 多分別の世界から来たばかりでよぐわがらなくてー」


 多分この世界のモンスターだろうと思ったが下手に手を出して怒らすのは避けたかった。


 強さがわからない上に話すぐらいに知能がある相手。


 しかも、攻撃の手段も武器で殴りつけてくるのか、意外にも魔法なのか、飛び道具を飛ばしてくるのかも分からない。


 そして、相手は三人も居るのだ。ムツヤは言葉を紡いで相手の出方を見ることにした。

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