ロト777で777777777!⑪




どうやら勝利の只事でない様子を福志も感じ取ったらしい。 夢で当たったのが5000万円。 既にそれ以上が確定している。


「ま、まさか・・・」

「そのまさかだよ」

「本当にお前・・・」


福志はこの先を言わなかった。 二人は固唾を飲み最後の抽選番号を待った。


―――こういう時って何故かは分からないけど、確信レベルで未来の予知ができることってあるよな。


そしてその予知は妄想でも何でもなく現実として実現した。


「うぉぉぉぉぉぉぉッ!?!?」

「マ、マジかよ・・・」


興奮している勝利とは裏腹に福志は呆気に取られていた。


「まだいくらか分からないけど少なくとも1億はいったぞ!!」

「ヤ、ヤベぇ・・・」


ロト777の一等は分配式で他に同番号の記入者がいれば減額されるシステムだ。 福志はどうやら腰を抜かしてしまったようである。


「福志はちょっとここで待っていてくれ!」

「は? どこへ行くんだよ」

「銀行だよ!!」


勝利は早速とばかりに銀行へと向かった。 もし当たった時にどうすればいいのか下調べは済んでいるため、身分証や印鑑は鍵はかけていたが持ち出しやすい場所に保管していた。


―――とりあえず早く行かないと!!


余韻を味わったりしなかったのは、当たり券をそのまま持っていることが怖くて仕方がなかったのだ。


「あの! これ!!」


着いて早々銀行の人に見せた。


「おめでとうございます!!」


周囲の視線が突き刺さる。 だが今回は本当に何も不正などしていないため罪の意識も何もない。


―――いやそもそも、不正はあの世界でもしていないけど。

―――自分で勝ち取った勝利はこんなにも嬉しいものなんだな・・・。


流石に一等ともなれば手続きは少し複雑だ。 それでも一時間程の時間で振り込まれてはいないが、当選金を受け取る手続きを終えた。 銀行の人が言う。


「あの、もしよろしければ当行にて資産管理の方を・・・」

「あ、すみません! それはまた検討しますから今は急ぎの用事があるので!!」

「はい。 またのご来店お待ちしております」


そんな感じで勝利は自宅へと戻ってきた。 福志が玄関前で待機していた。


「・・・もらえた?」

「もらえました! 僕は億万長者です!!」


手を挙げ選手宣誓をするよう宣言する。 福志は困惑した表情で言った。


「ま、まぁ大丈夫だとは思うけど、無駄遣いはしないようにな?」

「分かってるって。 俺だって優先順位は決めて使おうと思ってる!」

「おぉ!!」


VRの効果があるためか福志はいつもより強気になっている。


「とりあえず絵梨花に電話しようかな」

「はぁ!?」

「ん?」

「いや! 俺って勝利の親友だろ!?」

「あぁ」

「親友だよな?」

「そうだな」

「当然親友だよな!?」

「だからそうだって。 何が言いたいんだよ?」


尋ねると福志はもじもじとした態度で言った。


「親友のために何か少しくらいあってもいいんじゃないかなぁ、って・・・」

「何かって?」

「いや、その・・・」


福志はその先の言葉を言わないが、それは賞金のことだと察しこう返した。


「だって無条件に与えられる幸せってつまらないもんなんだろ?」

「いやいやいやいや! つまります!!」

「はぁ?」

「非常につまります!! 幸せってつまるんだなぁ、これがッ!!」


必死に懇願する福祉の姿に思わず笑ってしまった。


「・・・ふッ、分かったよ。 じゃあ後で俺のおごりで焼き肉でも食いに行こうか!」

「おぉ!! マジで!?」

「あぁ! 焼き肉一番にレッツゴー!!」

「って、食べ放題専門店かよッ!!」


それでも何だかんだ福志との食事を楽しみ、その後勝利は絵梨花に電話するのだった。



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