第21話 地下道

 地下道の夢を見た


 いきなり周囲が白黒の画面の映画のようになっていて、地下道を歩いている夢だった。


 狭い階段があって、そこを上ると何処かの公園に出たが、そこにある銅像を眺めていたら、又、地下道をさまよっていた。


 地下道の割には人の往来が激しく、角で新聞を売っていた。


 私に話しかける男がいて、相槌を打つが何を言っているのかわからない。


 無声映画の一場面のようだった。


 地下道を何度もさまよっている内に、これは夢なんだろうなと自覚したら、目が覚めた。


 もし目が覚めなかったら、まだ、地下道でさまよっているんだろうか。


 茫然としながら、布団の上にいたが、又、寝てしまった。


 だが、地下道には戻れなかった。


 寂しかった。

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