ゴブリン襲撃

「創造主様!」

大声で起こされました。しょうもない事だったら許しませんよ。

「…どうしましたか!?」


「ゴブリンが襲ってきています。数がおよそ120ほどです」

「撃退できそうですか?」

「はい。ミトが今迎撃に当たっています。一応報告しておこうかと」

「わかりましたすぐ向かいます」


時間を見るともう4か月経っていました。

寒いですね…後で焚き火でもして暖まりましょう

外に出てみると襲いかかるゴブリンと村の男達、そして簡単な上級魔法を使うミトの姿があります。

「ミトさん!大丈夫ですか?」

「桜様!これで終わりです!ファイアアロー!」

見るといつのまにかゴブリンは全て倒されていました。


「やけにゴブリンの数が多いですね…何かあったんでしょうか?」

「最近魔物の襲撃が増加しているのです。連合各国も同じ状況らしく、今回は特に大規模でした」

「どこからきましたか?」

「いつも森の中からです。最近は木こりも大変でこのままでは連合への輸出も難しくなります」

そういえば魔族の一部に魔物を使役する能力を持ったのがいた気がします。これは気になりますね…


「村長さん。斥候の人達を近くの森の調査に行かせてください。今回は全員1チームでくれぐれもバレないようにお願いします。そして村長さんは報告のために後で私の家に来てください」

「はい!」


「それで村長さん。ここ最近魔物の襲撃が増えているとはどういうことですか?」

「はい。最初は一か月前でしょうか。その頃はコボルトが数匹程度やゴブリンが10匹くらいだったので気のせいだと思っていました。しかし2週間前にはゴブリンが数十匹と襲いかかってきて、3日前にはこの辺には出ないはずのボアまで出てきました」

「なるほど。他の国の状況はどうですか?」

「連合各国も同程度ですが、森の西の方にあるイスタンブル国では特に酷いらしいです」

「わかりました。おそらくこの森に魔族が潜んでるとみて間違いないでしょう」

「魔族とは何ですか?」

「この世界にいる種族の一つです。今まで近くにいなかったのでこれは恐らく私と同じような創造主の役割をもった誰かが興した文明でしょうね」

「創造主様と同じような方が他にも…?」

「はい。この星やその外にもたくさんいるでしょう。これから他にも会うかもしれませんね。とりあえず魔族の説明ですが…そうですね。連合全部で戦える人は何人くらいいるのか分かりますか?」

「はい。連合でもなんらかの勢力があると思われており、その場合派遣できるのは多くても500人までだろうと」

「なるほど。それでは非常に厳しい戦いになりますね」

「まさか!?創造主様と同じなら向こうも1000人程度のはずです。しかしその全員が戦える者ばかりでもないでしょう。大体300人くらい…そんなに強いのですか?」


「はい。魔族は私達よりも少なく、初期の人口が200人ほどです。それでも全然問題ないほど強いです。さらに魔物が襲ってきてるということは魔物を使役できる能力を持っているタイプの魔族のようです」

「魔物を使役?そんな事ができるのですか!」

「はい。これは連合にも伝えた方がいいでしょう。中途半端に攻め込むと守ることすらできなくなるかもしれません」


「わかりました。今使者を…」

「創造主様!おられますか!」

「あっ…斥候部隊の隊長さん。何か見つかりましたか?」

「はい!角の生えた黒い肌をした人のようなものが住んでいる村を発見しました。規模はこの村と同じほどです。村の周辺にはたくさんのゴブリンがいて、数匹ですがゴブリンジェネラルもいました」


「間違いなく魔族ですね。それも私たちのような文明を持った国でしょう。我が国だけではどうしようもありません。連合の他の国と一緒に行動するべきです」

「わかりました。それでは使者を送ってきます」


連合はこちらの報告に慌ててうちの村で会談を開くことになりました。

「みなさんようこそお越しくださいました」

「お出迎え感謝します桜さん。さっそくですがあの報告は本当ですか?」

「間違いありません。我が国の斥候が魔族を見つけました。どうやらゴブリンを中心に使役しているようです」

「魔族…聞いた事があります。魔法に長けており、魔物を使役できるとか…。本当ならすぐに討伐しなければなりません」


「はい。ゴブリンは見ただけでも1000匹以上いたそうです」

「そんなに…それだけでも200人は必要でしょう」

「はい。私としてはなんとか魔物を全滅させたいですね。そこまで行けば少し魔族に被害を与え、講和を狙います」

「それが妥当でしょうな。我がスパルタン王国としては200人出しましょう!魔族が相手とあらば無理をしなくてはいけません」


各国から驚きの声が出ます。普通に考えればスパルタン王国は70人くらいで限界でしょう。200人ということは成人男性を全員かき集めなくてはならない。

しかし魔族が相手ともなれば小国はこれくらいの無茶はしなければいけません。小国の悲しいところです。各国も負けじとたくさんの人数を送ろうとします。


「イスタンブル王国としては70人出しましょう!」

「アテーネ共和国は400人出します」

「おお!流石は我らが盟主です。それでニポン皇国は?」

「ニポン皇国は50人です」

最終的に700人が集まる事となりました。

「ニポン皇国は少し人数が少なすぎませんか?初戦でやる気がないのは私どもも困るのですが?」


「ご安心ください。1人は上級魔法を使えます。中級魔法を使えるものも2人います。我が国の戦士も少数精鋭です。」

「おぉ!中級魔法ですら連合全部で3人しか使えないというのに!これで5人になりましたか!これは頼もしいですな!」

「ニポン皇国は魔術師が多くて羨ましいですな。戦士というのもきっと精強なんでしょうな」

「ありがとうございます。それでは集合は1週間後ということでいいですか?」

「異論ありませんね」

「我が国も異論ありません。これだけの戦力がいれば案外魔族も一捻りかもしれませんな」


各国の王が帰った後、私は村長に派遣する30人に準備するように伝えます。

「わかりました創造主様。」


マナは冬のために温存してきましたが…ここは使う時でしょうね。確かゲームのユニットに戦士があったはずです。訓練時間は3か月ですがここはマナで短縮しましょう。マナは100もかかるので残りは90。でも戦士は剛力スキルとダメージ軽減スキルが自動的に付きます。あまり長期戦になるとこちらが不利なのでこの1回で負けを認めさせたいところです。そのためにはマナも使いましょう。

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