シーズンパス2

DLC22 ハウジングDLC


 実家を出た俺たちは、住む場所を探していた。

 だが、その前に、もう一度DLCを確認しておく必要があるだろう。

 そういえば、大型DLCなんてのもあったな。

 他にもなにか、使えそうなものがありそうだ。


「スキル発動:DLC一覧――!」



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使用可能なDLC一覧

NEW!!シーズンパス第2弾追加


 ・装備DLC一覧

 ・魔法DLC一覧

 ・食品DLC一覧

 ・特殊DLC一覧

    ・

    ・

    ・

 ・大型DLC一覧


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「えーっと……シーズンパスだって……? なにが追加されてるんだろう」


 俺はその中から、大型DLC一覧を選ぶ。

 すると、



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 ・ハウジングDLC


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 ハウジングDLCなるものがあった。

 まさに今必要なものじゃないか……!


「よし、じゃあ家はこれでどうにかするとして……。土地がいるよな、土地が」

「そうだな、その辺は私に任せてくれ。知り合いの業者に頼んでみる」


 とレヴィンがなんとか取り次いでくれた。

 ということで、俺たちは有り金すべてをはたいて、巨大な空き地を購入した。

 城のひとつくらいなら建てられるんじゃないかというほどの、大きな土地だ。


「ねえ、ドルク……。これ、ほんとに大丈夫なの? お金全部つかっちゃったし……」

「大丈夫だ、ルミナ。お金はまた稼げばいい。それより、このDLCはなかなか面白そうだぞ」


 項目を見ているだけでも、ワクワクしてくる。

 MMOとかのハウジングって、好きなんだよな……。

 まあ、無課金ユーザーには辛い仕様であることが多いが……。

 でも、今回はスキルでなんでも出し放題だ。

 課金なんてものに縛られる必要もない。


「にゃあ、これだけ広いと、なんでもできそうなの……!」

「そうだな、シャル。なんでも好きなようにできるぞ!」


 まずは……。

 俺は、ハウジングDLCの中から、『屋敷』の項目を選んだ。


 →屋敷A


 見た目が気に入ったから、これにしよう。

 さて、どうなるんだろうか……?


 ――ボン!


 巨大な音と共に、俺たちの前に、屋敷が現れた。

 空き地の5分の1ほどを埋める巨大な屋敷だ。

 幸い、まだまだ土地はあるから、安心だ。

 これ、空き地っていうか、領地に近いな……。


「すごいドルク……! ホントにこんなものがスキルで出せちゃうなんて……!」

「ああ……俺も驚きだ。ほんと、なんでもありなスキルだな……」


 まずは、家の中に入ってみよう。


「まだまだ家具とかがないなぁ……」

「そうね、これだと少し寂しい」


「よし、みんなで一緒に選ぼうか」

「にゃあ、選ぶ……!」


 俺たちは床に座って、俺のスキル画面を見ながら、それぞれに好みの家具を選んでいった。

 そしてあっという間に、屋敷の中は賑やかになった。


「机に、ソファにベッド……これでなんとか家らしくなったな……!」

「にゃあ!」


 それじゃあ、こっからがこのスキルの見せどころだ。

 俺はさっき、項目を確認して、とんでもないものがあることに気がついていた。


「ふっふっふ、3人とも、驚くなよ?」

「え……? なにが……?」

「にゃ?」

「なにをするつもりだ……?」


「スキル発動:DLC一覧――!」



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使用可能なDLC一覧


 ・家具DLC一覧

  →冷蔵庫


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 俺は冷蔵庫と書かれた項目を押した。

 すると……。


 ――ドン!


 屋敷のキッチンに、冷蔵庫が出現した。

 最近発売したばかりの、最新型の冷蔵庫だ……!


「って……ドルク……これ、なに!?」

「ま、まさか……敵か……!?」


 ルミナたちが驚くのも無理はない。

 異世界の人たちにとっては、こんな現代製品は初めてみるものだからな。


「これは冷蔵庫だ!」

「れーぞーこ……?」


「そう、あらゆる食品を、冷やしておくことができる!」

「す、すごいじゃない……それって……!」


「ああ、そうだろう。科学が産んだ便利製品だ!」

「かがく……」


 まあ、実際に使ってみるとわかるだろう。

 でも、これって電気はどうすればいいんだ……?

 すると、ガイド音声が答えてくれた。


【電気は魔力で動きます。内臓バッテリーに魔力を補充しておけば、ドルク様の魔力量なら半永久的に稼働します】


「お、マジか……! やってみよう」


 俺は、冷蔵庫にむけて魔力を流した。

 すると……。


 ――ゴウンゴウン。


「お、動いた……!」


 中を開けてみる。

 すると、シャルがとてとてと走ってきて、首を突っ込んだ。


「あ、こら」

「にゃあ……涼しい……」


 ははは……まあ、初めての体験だろうな、こんなの。


「すごいわドルク……こんなスキルまであるなんて……ホント、神様みたいね」

「ほんとだな……ドルク殿は天の使いかもしれないですね、ルミナさま」


 と、レヴィンまで俺をほめちぎった。


「いやぁ……それは大げさだよ」


 まあ、この異世界の人にとってみれば、神みたいなものかもしれないな。

 このDLCスキルは、あまりになんでもできすぎてしまう。

 そこは、限度を考えて使っていかないとな。


「じゃあ、今日はもう風呂に入って寝ようか」

「そ、そうね……」


 もちろん、大浴場もついている。

 ちゃんと電気(魔力)でなんでも動くようになっていた。

 マジでこのスキル便利すぎる……。


「じゃあ、俺とルミナはこの部屋で寝るわ……」

「にゃあ……シャルも一緒に寝る……!」

「え……。でも……」


 正直、ルミナとの夜の営みを、シャルに見せる訳にもいかないし……。

 シャルはまだそういう年齢じゃないだろうからなぁ。


「にゃあ! シャルは大人だから、いっしょに寝る!」

「えぇ……!? シャル、いったい何歳なんだ……?」

「17歳……にゃ」

「ま、マジか……同い年……。めっちゃ子供っぽく見えるけど……」


 どうやら、獣人というのはそういうものらしかった。

 まあ、年齢が同じなら、間違いがあっても大丈夫だろ。


「よし、じゃあ3人で同じベッドで寝るか!」

「にゃあ!」

「そうね……私たち、家族だもんね!」


 幸い、ベッドもかなり大きいものを選んだから、大丈夫だ。

 だが、それに異を唱えるものがもう一人いた。

 レヴィンがもじもじとして、赤い顔でこっちを見ている。

 仲間になりたそうな顔で、こっちを見ている……。


「おい女騎士……お前も来るか……?」

「な……! わ、わわわわ私は……あくまでルミナさまをお守りするためにここにいるのであってぇ……お、お前なんかとまぐわうつもりは……」


「ん……そうか、じゃあな……」

「あ……こ、こらぁ……!!!!」


 ということで、レヴィンは放置することにした。

 まあ、俺はルミナとシャルがいれば満たされるしな……。

 俺たちは、3人で楽しい夜を過ごした。


「にゃあ……にゃあ……」

「ドルク……ドルク……!」


 まさに両手に花だ。

 前世の俺では、とても考えられなかったことだ。

 異世界に転生してよかった……。

 なにより、あの日たまたま外に出てよかった。

 神に感謝する俺なのであった。


 そんな俺たちの寝室を、こっそりのぞいている者がいた。

 ドアの後ろで、聞き耳を立てているのがわかる。

 なにせ俺はあらゆるステータスが規格外だから、感覚もそれだけ優れているんだ。


 そう、ドアの後ろに、レヴィンが潜んでいた。

 彼女は一人、俺たちの行為を見ながら、自らを慰めていた。


「ルミナさま……ルミナさま……」


 俺はいたずら心に魔が差して、ドアを開ける。

 ――ドン。


「っは…………!?」


 まるで死にそうな顔で硬直しているレヴィン。

 そんなに驚いているけど……バレバレだっつーの……。


「おい、レヴィン……お前も混ざるか……?」

「んあ……わ、わたしは……あくまでルミナ様をだなぁ……」


「あっそ……じゃあ」

「ま、待ってぇ……! ま、まじゃるううう……!」


 ということで、俺たちはその後、4人で夜を過ごした。

 まったく、素直じゃない奴だ。

 ちなみに、俺は無尽蔵の体力でなんとか乗り切った。

 むしろ女性陣3人のほうが、体力を失ってへとへとになっていたくらいだ。

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