DLC23 畑とゴーレム


 家の中を整えたあとは、次は家の外だ。

 ここは空き地とはいえ、森の近くだし、街からは若干離れたところにある。

 だから、モンスターたちに襲われることもあるかもしれない。

 安心して暮らせるように、ゴーレムでも置いておこう。

 俺は、DLCの中からモンスター召喚の項目を開いた。



――――――――――――――――


・防衛DLC――ゴーレム召喚


――――――――――――――――



「よし!」


 俺がそれを選ぶと、ゴーレムが現れた。

 どうやら使い切りのDLCではなく、何体も召喚できるようだ。


「おお! さすがはドルク。しかし、このゴーレムは……私が知っているのとは少し……模様が違う……」


 と、レヴィンが怪訝そうな顔で言った。

 俺はまだこの世界でゴーレムを見たことがないからなぁ。

 違いがわからない。

 だが、きっとDLCのゴーレムということで、通常種よりも強いのだろう。


「よし、ゴーレム! 試しにそこの木を粉砕してみろ!」


「ゴゴゴゴ!」


 俺がそう命じると、ゴーレムは一本の木を思い切りぶん殴った。


 ――ドゴォ!


 すると木は粉々に砕け散った。

 まるでもとからそこにはなにもなかったかのように。


「おお! すごい!」

「ドルク! 本当にすごいよ! 私の知ってるゴーレムって、ここまで動きも速くないし、頭もよくないもの……!」

「そうなのか……?」


 ルミナまで驚いてくれた。

 どうやらこのゴーレムたちは、かなり優秀な兵として働いてくれそうだな。

 俺たちも安心して暮らせるというわけだ。

 とりあえず、30体ほど召喚して、家のまわりを警備させておこう。


「にゃあ……! お腹すいた……!」

「お、そうだな……。ちょっと待っててくれ」


 シャルがお腹がすいたというので、俺はなにか役に立ちそうなものを、DLCの中から探す。

 DLCには食品DLC一覧という項目があったな……。


「おお……! すごい品ぞろえ……!」


 DLCには、各種料理が用意されていた。

 しかし、せっかく土地があるのだから、なにか栽培でもしたいところだな。


「えーっと……これと、これと、これ……」


 俺はDLCから適当に野菜や果物を、空いた土地に植えることにした。

 あとはゴーレムくんたちに世話を任せてみよう。


「よし、待たせたな。食事にしよう」


 俺はDLCの中から、子供が喜びそうなものを選んでテーブルに並べる。


 ハンバーグや、お好み焼き。

 この異世界にはないようなものがたくさんあった。

 まるでどこかの未来ロボットのようだな……。

 まあ、俺もちょうど日本食が懐かしくなっていたから、ちょうどいい。


「さあみんな、食べよう!」


 俺がそう言うも……。


「なんだこの見慣れない料理は……食べられるのか……?」


 とレヴィンがまたもやいちゃもんをつけてきた。

 くそぅ……やはりこの女戦士頭が固いなぁ……。

 昨日、ベッドの上ではあんなに従順だったくせに……。


「まあまあ、いいから食べて見ろって」


 俺がそう言うと、シャルは。


「にゃあ! ホントだ! とってもおいしい! ドルク、天才!」


 まあ、俺が作ったわけじゃないけど……。

 故郷の料理が褒められるのは、俺としても嬉しい。

 まあ、ハンバーグは日本料理ではないかもだけど……。

 ここは異世界だから、もう地球全体が俺の故郷みたいなものだ。


「うーん、ルミナ様、私が毒見をします!」

「あ……レヴィン……!」


 ルミナが食べようとしていたたこ焼きを、横からレヴィンがかすめとる。

 もしかしてコイツ……ただ喰いたいだけか……?


「ぱく……ん……お、おいしい……!!!! 美味しいですよ、ルミナ様……!」

「だから言ってるじゃないか……」


 まあ、みんなそんな感じで、料理を楽しんだ。





 他にも、DLCには使えるものがたくさんあった。

 電子レンジなど、各種家電もそろっている。

 普通のゲームだったら、こういうハウジング用のアイテムって、課金が必要だったりするが……。

 俺のこのジョブスキルなら、全部無料で手に入ってしまう。


 まあ、ここは異世界だから、ゲームのように世界を荒らすのはダメだ。

 なるべくこの家の中だけで使うことにしよう。

 といっても、俺以外の魔力には反応しないようにも設定できるから、電化製品のセキュリティも万全だ。


 さあて……なんでもできるせいで、何をしようか迷うな。

 明日は何をしようか……。



――――――――

あとがき


新連載開始!よろしくお願いします!


『追放もの』の勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。《ざまぁフラグ》は勘違いした【主人公補正】で無自覚回避します。


https://kakuyomu.jp/works/16816700429527557087/episodes/16816700429527754758

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