みずの惑星

食連星

第1話

「あはははっ.

ここが水の惑星だって?

何かの間違いだよ.」


「多分…

今も水の惑星だよ.

そのまま飲めないけどね.」


「飲めないなら,

全く意味が無いよ.

ここは無理だ.

他行こう.」


「どこまで行くの?」


「本物の水を探しにさ.

母なる海なら他にもあるじゃない.

淡水が欲しいのさ.

喉の渇きは味わいたくないよ.」


「分かってるよ.

それが任務だろ.

だけど,

彷徨ってるじゃないか.」


「名誉ある彷徨いさ.

何言ってるんだよ.」


「ここの人たちは捨てていくの?」


「当然でしょ.

責任は誰しも取らなくちゃいけないよ.

雨が降らないんだよ.

川もダムも枯渇して,

森も緑も減り,

砂漠を増やして,

高いビルと素晴らしい文明が残った.

いんじゃない.

最高だよ.

望んだものが手に入った.」


「やめろよ.

そんな言い方.

尊敬と尊重と助け合いだろ.」


「そうだね.

だから,手は貸す必要はない.

そこまで落ちぶれちゃいないよ.

優れた技術者が,

優れた民意が,

方向性を正す.

上から言ってんなよ.」


「あはは.

そうだね.

それは失礼だったよ.

結局,同じ穴の狢だからね.」


「んだよ.

自分の惑星をダメにしといて,

他所の惑星を説教する立場じゃねぇんだわ.」


「さて,

ここは無理でしたって報告入れとくわ.

適当に色も付けて,

不干渉でって.」


「おう頼んだ.

でも,海水だけ少し貰っとくわ.」


「あぁ,そこは頼んだ.」


「海水も…

うちとは違って綺麗だわ.

何度も間違って修正して,

進んでいってる.

生き物も中で頑張ってくれてる.

悪いものを悪いままでいさせない.

循環が効いてるよ.」


「んあ?

何か言った?」


「んや,何も.

何も言ってねぇ.


あいつに伝えると,

そのまま載せて送っちゃう時あるからな.

なんも考えねぇっていうか,

考えてるんだろうけど.

多分,1人で探索だったら,

気が狂ってお仕舞だったかもな.


合わせる所と

合わせねぇ所と,

あいつと自分は違う.

だから,

やっていけるんだ.

そう,適度に違うから面白い.」


「どの位入った?」


「あらかた?

ちょっと,そっちの装置のメモリ見たら

すぐ分かんじゃん.

何で,わざわざ,

こっち来て聞くんだよ.

つか,

見て教えてくれれば,いいのに…

二度手間…


んじゃ,こっちのホースが

暴れんか見といてくれよ.

抑えて置いたがいいかも.」


「それじゃ意味無いよ.」


「は?」


「会話しに来たのに.

一緒に顔見ながら話そうぜ.」


「あーーー.

効率悪くね?」


「いんだよ.

どん位かなって,

どうでもいい事

一緒に気にしとこ.」


「あはは.

あーい.

了解.」

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みずの惑星 食連星 @kakumi

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