[20211223] 四角の外(三)
助けてくれた「人」と同じになる。わたしの前足も手になった。同じって嬉しい。
助けてくれた「人」は服をくれた。わたしも「人」みたいに服を着る。くるりと回る。服がふわりとする。楽しい。好き。
助けてくれた「人」は四角の外も見せてくれた。外は四角くない。においも違う。すごい。好き。
助けてくれた「人」は食べるものもくれた。良いもの。口の中がいっぱいでぎゅーってなる。飲み込むと気持ち良い。好き。
名前もくれた。「人」の名前は「ユーヤ」。わたしの名前は「シル」。シル。名前。嬉しい嬉しい、嬉しい。好き。
わたしはきっとユーヤを待ってた。ここでずっと待ってた。助けて欲しかった。ユーヤがきて、助けてくれた。置いていかれるのは嫌。一緒が良い。
ユーヤの声は不思議。
「一緒に来てくれると嬉しい」
言葉がわからないのに、わかる。でも、ユーヤのくれる言葉は嬉しい。ユーヤのくれるものはみんな嬉しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます