タザーヘル・ガニュンとウリングラス・ナングス

[20211213] 渡りの仲間(一)

 アズムル・クビーラを出発して、最初のラハル・マーオアシスで二晩ばかり足止めをくらった。アシフル・アレム砂嵐じゃない。もっと単純な理由。

 ヒブル・ターバル渡りの仲間の一人が、慣れないターバル渡りで倒れたからだ。その話を聞いた時、ヒブ仲間の誰もが心当たりに苦笑した。

 アズムル・クビーラで頼まれてヒブ仲間に加えた男女の二人組。話を聞かなくてもジュナブ外の人間だとわかる色合いだった。ターバル渡りにも慣れていないのが明らかで、だから誰もが、こうなるだろうと思っていた。

 それでも誰も文句を言わずに受け入れたのは、遅れた分の水や食べ物をその二人組が出してくれたから。

 でもそれだけじゃない。

 そもそも遅れるのが嫌ならジュナブ外の人間を受け入れなければ良い。あるいはヒブ仲間から抜けたら良い。それがわかってヒブル・ターバル渡りの仲間にいるということは、それを受け入れたということだ。

 タバル・アレム砂の渡りで急ぐやつはアバ馬鹿ヒブ仲間ハミヤ大事にしないやつはタフル・アバ輪をかけた馬鹿

 つまり、今回のヒブル・ターバル渡りの仲間に残っている誰も急いじゃいないし、具合の悪くなったヒブ仲間を置いていくようなやつもいないってことだ。

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