[20211206] 花のような糸と勇ましい羽(二)

 父が連れてきたお客は、男女の二人組みだった。わたしよりも少し年が上のようだった。わたしより年が上で一緒にいるということは、二人はクホス夫婦なのだろうか。ドゥーはらからのようには見えない。

 何よりもまず、女の人の姿が目を引いた。モーン・ウータ銀の糸のような髪と、薄く透き通ったノダーの色の瞳、白い肌。弟妹たちがノースと言って騒いでいたけれど、本当にノースのように綺麗だった。

 暖かい部屋で溶けてしまったノースクーケルーデ人形のお話を思い出して、溶けてしまうんじゃないかと心配したくらいだ。

 それから、髪の毛にきらきらとしたツェッツェの飾りをつけていた。それが、山に降りた先にあるルキエーという場所のオール・アキィトというものだと気付いて、わたしは思い切ってそれを見せて欲しいと頼んだ。

 トウム・ウル・ネイわたしたちの言葉は伝わらないらしく、父がわたしの言葉を代わりに伝えてくれる。

 ノースクーケルーデ人形は困ったように一緒にいた男の人を見た。その男の人が何事かを言って、ノースクーケルーデ人形の髪に結んだオール・アキィトを解いてゆく。

 ノースクーケルーデ人形がためらいなく自分の髪を触らせるその様子を見て、二人はやっぱりクホス夫婦なのだろうと思った。

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