第15話

「秋葉原掃討作戦、ですか」


 僕の隣の隣に立っている寛治が呆然と呟く。


「あぁそうだ」

 

 僕と、寛治と、雲母の前で悠然と座っているおじさん、この学校の校長先生らしい人が偉そうに頷く。


「一週間後。我ら侍と……陰陽師どもと合同で反転世界の秋葉原での掃討作戦が実施される」


「掃討、ですか」

 

 反転世界にはたくさんの魔怪が存在する。今までそれらすべての魔怪を討伐する掃討作戦なんて行われたことはない。

 今まで侍と陰陽師がやってきていたのは増えすぎないように魔怪の数を増やすことと、こっちである聖典世界にまで出てきそうな動きを見せる魔怪の討伐並びに出てきてしまった魔怪の討伐などを主な仕事としてきたいる。というのを寛治から聞いている。

 そのことから考えると、今回の掃討作戦は異例中の異例と言っていいだろう。

 僕はたまに気まぐれで一区画の魔怪を殲滅したり、日本に存在する魔怪をほとんどの魔怪を殺したり、世界に存在するほとんどの魔怪を殺したりしてみたりもしているが、すぐに魔怪が生まれてきてあっという間に元の数と同じくらいになってしまう。

 なので、掃討作戦とかほとんど意味がないように思える。

 

「面白そうでござるな!初めての試みとは!実に心躍るでござるな!!


「だね!」

 

 だがしかし、それとこれとはまた話が違う。

 掃討作戦!

 響きがカッコいい!無駄だろうけど、ぜひやりたい!やってほしい!

 

「ちょっと二人は黙ってろ!」

 

「「むぐ」」


「掃討作戦はどういうことですか?どうしていきなりそんなことを」


「……ふむ。まぁその疑問も当然だな。秋葉原に異変の兆候あり。という報告を受けていてな。あの紅き月のこともある。少しの異変であっても放置しておくことなど出来ない」


 ……異変?もしかしてストーカーさんたちとやった秋葉原での球技大会のこと?僕達の球技大会をこそこそ見ていた人たちのこと?いや、流石に違うか。

 異変ってなんだろう。球技大会した時はなんにもなかったけれど……。

 

「……なるほど。それ故の掃討作戦……」


「そういうことだ。掃討作戦。その作戦の性質上多くの戦力を必要とする。それ故に優秀な学生にも話を通しているのだ。……どうだ?やってくれるか?」


「「はい!」」

 

 僕と雲母は元気よく頷く。


「……はい。やらせていただきます。必要なことですから」

 

 悩んだ末、寛治も了承する。


「そうか!ありがたい。それでは一週間後に備えて英気を養っていてくれたまえ」


「「はい!」」


「……はい」

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