第7話

 魔怪たちが住む異空間、反転世界。

 そんな危険な世界に今、僕は立っていた。

 別に僕がこの世界にいることくらいなら珍しいことじゃない。お散歩感覚でこっちの世界に来て、空を飛んでいるし。

 空を飛ぶのは良いよ。風が当たって気持ちい。

 だがしかし、今はなんと珍しいことに今僕の隣に雲母並びにクラスメートのみなさんが立っているのだ。

 ストーカーされた以外で誰かと一緒に反転世界にやってきたのは初めてである。

 

「うおー!!!私は帰ってきたでござるよー!!!」


「うおー!!!」

 

 僕の隣で雲母が叫んでいる。僕は雲母のマネをするように叫ぶ。


「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

「お前ら……本当に仲がいいのな」

 

 一緒になって大きな声で叫んでいる僕と雲母を見て寛治がつぶやく。

 僕たちは今、授業の一環として反転世界の方にやってきていた。

 もう二度をこっちの世界に魔怪が出てくることはないだろうから、今さら魔怪に対抗するための戦力を整えたところで意味はないだろうと思ったいたのだが、どうやら反転世界にはこちらの世界にはない特別な資源があるらしく、その資源は一切の環境汚染なくエネルギーを取り出せるんだそうだ。

 そのため魔怪でその資源を採掘することが地球温暖化対策として有効なんだそうだ。

 だから、反転世界の方に来ても死ぬことのない人材を育てるということにもちゃんとした意味があるそうだ。

 先生が授業で言っていたことだから多分あっていると思う。


「それで今日わたしたちは何をすればいいのでござるか?」

 

 元気よく一歩を踏み出した雲母だったが、ピタリと動きを止め首を傾げる。

 

「えっとねぇ。なんかいい感じに魔怪と戦えばいいんだって」

 

 他のクラスメートは先生たちと一緒に何かをするそうなのだが、僕と雲母と寛治は例外で好きに動いて良いんだそうだ。

 ……今思ったけど、ほとんどの実技の授業例外で自由になってない?僕ら。


「わかったでござる!」


「……お願いだからふたりとも変なことはしないでね。俺が怒られるんだから……」


 寛治が僕達のことを見て、心配そうにつぶやく。

 ……ん?なんで僕達が変なことをしたら寛治が怒られるんだ?

 本来怒られるのは僕と寛治ではないのか?

 

「別にしないよ。変なことなんて」


「よし!とりあえずここらへんにいる魔怪は殲滅するでござるー!!!」

 

「おー!!!」

 

 僕と雲母は拳を振り上げた。


「心配だなぁ」

 

 全く。寛治は心配性なんだから。僕が何かやらかすわけがないのに。

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