第33話
「おーい。お風呂湧いたぞー」
悠真がリビングで小夜と一緒にパズルを組んでいた僕に教えてくれる。
「あ、ありがとー」
「別にこれくらいいいぞ。お?結構進んで……いや、進みすぎじゃね?」
悠真は僕達が一生懸命組んでいるパズルを見て驚きの声を上げる。
「え?お前ら初めてからまだ2時間しか経っていないよな?」
「うん。そうだね」
「え?これ、5000ピースのパズルだぜ?俺が一人でやったときとか完成させるのに40時間かかったんだぜ?いくら二人がかりとはいえ2時間でもう半分は進み過ぎじゃね?」
「それはあなたが愚かだっただけ」
悠真の疑問を小夜はバッサリときる。
というか、小夜。僕以外に当たり強くない?友達ちゃんといる?お兄ちゃん心配だよ?
「悠真もやろー」
「あぁ。う、うん。いや、いくらなんでも早すぎだろ……」
悠真は進み具合に納得がいかない様子ながらもパズルを手に取り、作業を始めた。
■■■■■■
「あ、お兄様。そのピースはそこではなく、ここですよ」
「あ、ありがと」
「そのピースはこちらですね」
「ん。ありがと」
「あっ。流石です。お兄様。そのピースはそこであっていますね。流石です」
「お?ほんと?ありがと」
「いや、おかしくね!?」
僕達のやり取りを見ていた悠真が叫んだ。
「ん?どうしたの?いや、普通にお前もう操り人形じゃん。それに、風和のを確認しながら1ピース1ピース完璧な場所に置いているって……もう。なんだ?化け物じゃんか……」
「え?これが普通じゃないの?」
「口を慎みなさい」
悠真は何を言っているのだろうか?妹は兄の面倒を一からなんでもみてくれるのではないのか?
「え?なにこれ?俺がおかしいの?俺が間違っているの?」
「うん。そうだよー。さっ!パズルしよ?」
「ほんと。邪魔をするならここから出ていって貰って」
「いや、ここは俺の家なんだが……」
そんなこんなでパズルを進めて一時間半。ようやく5000ピースパズルを完成することが出来た。
「んー、楽しかった。じゃあお風呂入ってくるね」
「おかしい……あまりにも早すぎる……」
僕は未だにブツブツ言い続けている悠真を横目にお風呂に向かった。
■■■■■
「美味しい。美味しい」
僕はお風呂から上がった後、小夜が用意してくれていたプリンをいただく。
実に美味しい。
「なぁ、風和」
「ん?なぁに?」
「……お前はどう思っているんだ?」
「何が?」
「そりゃ……当然、なぁ。だってあまりにも束縛がひどすぎると言うか……」
「ん?どういうこと?」
僕は言っている意味がわからず、首を傾げる。
「なんでわからないかなぁ。俺が言っているのは────」
悠真の言葉を遮るように悠真の肩に手が置かれる。
悠真の後ろに立っていたのは僕の後にお風呂に入っていた小夜。
え?いつの間に?
「何を言おうと?」
小夜が悠真の耳元に顔を近づけ、冷たい言葉で告げる。え?こわ……。
「……いや、なんでもない」
「えぇ。さぁ。お兄様。もうそろそろ帰りましょう。寝る時間です」
「あ、うん。そうだね。それじゃあね。悠真。楽しかったよ。また来るね」
「お邪魔いたしました」
僕は悠真に挨拶して、席を立つ。
「あ、おう。……うん。また来いよーいつでも歓迎しているからなぁー」
「うん!ありがと。じゃあバイバイー」
僕は小夜と一緒に自分の家に帰った。
『未完結のゲームで最初の方に死ぬクソ雑魚敵キャラに転生したと思ったらなんかクソ強いんですけど?……もしかしてラスボスだったりする?』という異世界小説を投稿したので良かったら見てみてください。
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