第27話
「ふむ……君たちは壊滅した情けない支部の実験体か……」
開けた場所。
そこには刀を持っている一人の男が立っていた。
ただそこに立っているだけで他の存在と格が違うということを知らしめた。
でも、私達の敵でもましてや当然刹那さまの排泄物にも及ぼない。
「そうよ」
私は自分の持っている刀で 薙ぎ払う。
「私はメーデン。あなた達『ジュネシス』を滅ぼすものよ……」
「くくく、出来損ないの実験体風情が語りよる……。私は『ラストバタリオン』第十五席バロン。『ジュネシス』の主力だぞ……」
「そんなの関係ないわ」
私は一歩踏み出し、斬りかかる。
「ふん!」
男、バロンは私の一振りに合わせて剣を振るう。
それを呼んでいた私はそれを回避し、剣を薙ぐ。
バロンの汚い頬が裂け、血が吹き出す。
「ふっ」
バロンは不敵に笑い、剣を振り続ける。
避けて、切って 避けて、切って 避けて、切って。
バロンの肩が裂け、バロンの腕が裂け、バロンの足が裂け、
私は無傷。
地力も、技術も、何もかもが私のほうが一歩上手だった。
「くくく」
それでもバロンは余裕の態度を崩さなかった。
「どうやら……そちらもそれなりに成功を収めているようだ……」
私を見て、満足そうに頷く。
「だが、もう遅い。無意味。無価値。私達は辿り着いたのだよ。極地に、神話に。よく見ておくがいい。今宵、神話が再び動き出すのだ」
バロンは懐から何かを取り出し、飲み込む。
「何を……ッ!」
バロンの肉体が膨張する。
そして、力が溢れ出す。
これは……魔力ッ!
瞬時に肉薄してきたバロンの豪快な一薙ぎをギリギリのところで受け止める。
しかし、威力を殺しきれず盛大に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「ハッハッハッハッ!これが力よ!」
バロンが豪快に笑い、刀を振り回す。
「メーデン様!」
「問題ないわッ!少し面倒になっただけよッ!」
私は心配そうに声を上げる部下にそう返す。
「シッ!」
私は壁を蹴り、刀を振るう。
刀は隙だらけだったバロンの胸を切り裂く。
勢いよく血が吹き出すが、すぐさま再生してしまう。
儀典魔力を大量に刀に流し込み、刀を振るう。
先程と同じ。
避けて、切って 避けて、切って 避けて、切って
私の刀がバロンを切り裂き、私は無傷。
先程と違うのは、バロンが無傷であり、私は一撃でもまともに食らうと致命傷に成り得るという可能性があるということ。
どうすれば……。
私が途方に暮れていたそんな時、突如として轟音と共に壁が破壊され、吹き飛ぶ。
「醜い……実に醜いな」
「刹那様ッ!」
壁をぶち破り出てきたのは刹那様。
私の全てだった。
「魔力の使い方をお前に教えてやろう……」
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