第3話
「今日は転校生を紹介するぞー」
『うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
転校生という単語に興奮し、クラスメートたちが大声で叫ぶ。
当然僕も。
何なら僕が一番大きな歓声を上げた。
新しいものってワクワクするよね!
「じゃあ、入ってきていいぞ」
転校生の少女はドアを開け、教室に入ってくる。
腰まで伸ばしたきれいな黒髪と黒目を持つかわいい少女だった。
見た目は普通。この学校に似合うような奇抜な格好はしていない。
「あッ!」
入ってきた転校生の少女がいきなり僕のことを見て、驚いたような大声を上げる。
……なんだ?
はっ!まさか敵の組織からの刺客!?
わざわざ僕を探して刺客を送り出したとでも!?
ん?だとしたらなんで驚くんだ?
「いきなりどうした?」
「あ、すみません」
いきなり叫んだ転校生の少女にみんなが驚き、転校生の少女は頬を赤らめ、謝罪した。
「えっと、私は倉橋神奈って言います。よろしくお願いします」
転校生の少女、倉橋さんがきれいで上品な一礼する。
その仕草の美しさに男子のみならず女子までもが目を奪われた。
……。
…………。
沈黙。
みんなが倉橋さんに見とれていたため、みんなが黙り込み沈黙していた。
「えっと、あの……私はどうすればいいんでしょうか?」
一人、一人みんなから見つめられ、何をすればいいかわからない倉橋さんは困惑したような声を上げる。
「あ!あぁ、すまん。ぼーっとしていた。あそこの席に座ってくれ」
先生が空いている席を示す。
あそこの席は元々なかったはずなので準備しておいたのだろう。
「わかりました」
倉橋さんが歩いて席に向かう。
その様子もいちいち様になっている。
ふーむ。
なんかたまに化け物と戦っているところを見かける和服を着た上品な人たちと似ている。
椅子を引いて座り、座っている姿なんかも。
敵の組織からの刺客ではないかなぁ。
たまに化け物と戦っている上品な人たちと同じところに属する人間なのだとしたら。
あれは多分ボランティアとかで慈善事業で頑張っている人たちだろうから。めちゃくちゃ弱いし。
「えっと、じゃあ次の連絡事項は……」
先生がホームルームを再開し、次の連絡事項を話し始めた。
別に特に何か特別な連絡なんかもなかった。
■■■■■
「すげぇ人気だな」
僕と悠真はたくさんの人たちに囲まれる倉橋さんを眺める。
まぁかわいいからね。
人がたくさん集まるのも当然だよね。
「ふっ。僕は女なんかに興味ない。僕には与えられた使命があるのでな!」
「お前、俺のエロ本顔真っ赤にしてガン見していただろ?」
「し、し、し、してないしぃぃいいいいいい!そんなの知らない!捏造!嘘っぱち!ぶー!ぶー!」
僕は変なことを言う悠真を抗議する。
……。
「あの」
「ふやぁい!?」
僕はいきなり声をかけられて変な声を出してしまう。
「うわ!」
「あぁ、ごめん。えっと、何かな?」
「ちょっと話があるからこっちに来てほしいんだけど」
「あぁ、うん。わかったよ」
僕は倉橋さんに連れられて、人気のない場所まで向かう。
はっ!?
まさか暗殺!?
「ありがとうございます!」
いきなり倉橋さんは頭を深々と下げて、お礼を告げた。
……何故に?
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