第2章 2.身近な音が声に聞こえたら~

今日から2泊の旅行だ。

写真が趣味なので、景観の良い場所を探してはちょこちょこと足を伸ばすことにしている。

今回は季節が秋、ということもあり長野県の高地へ出掛けることになった。

東京から車で3時間程度ですぐに到着するのだから、結構気軽な旅なのだ。


紅葉が美しく大勢の観光客が押し寄せていた。

皆さん、考える事は同じ。

旬の紅葉を楽しみたい、というのは誰でも一緒である。

目的地に到着するとすぐに何枚もの写真を撮った。


数時間程経った頃だろうか、上空を飛んでいる鳥がいた。

その鳥の鳴き声がなぜだか人間の声のように聴こえてきた。

「まさか」と少し思っただけであった。

この謎は心の中にしまうことにした。



また、写真を撮影する時のことだ。

カメラを使用する時にはシャッター音が聴こえる。

レンズ部分を使用する時には、いつもは音が全くと言って良い程聴こえない。

この日は、レンズ部分から「ジー」という音がわずかであるが聴こえてきた。


レンズ部分には超音波モーターが採用されている。

この超音波モーターは圧電セラミックを利用しているものなので、環境の変化により振動数が変わったのかもしれない。

高地なので可能性はある。

最近、音に対して敏感になっていることもあり、わざと振動数を変化させるということもあるのではないかとチラと思った。


家人と共に写真を何枚も撮影して、かなり楽しんだ。

澄んだ空気の中の散策も同時に堪能した。

東京では望めないような澄んだ空気だったので、今回の旅行も大成功だ。


楽しかったがかなり疲れた。

実は1日に6時間も歩いてしまったのだった。

宿泊先のホテルに着いてすぐにシャワーを浴びた。


シャワーからお湯が出てくるのであるが、その時に童謡の様な歌声が聴こえてきた。

ビックリして、音のありかを探ろうとした。

けれども一瞬歌声が聴こえただけで、すぐに聞こえなくなり静かになった。

これはどういう事なのだろうか。


鳥の声、レンズ使用時の音、シャワー時の歌声。

深く考えると色々な事が想像できる。

カメラのレンズ部分は電子機器なので音がするのは想像出来る。

けれども、鶏の声やシャワーの音が人間の声に聴こえたのはかなり驚くべき現象である。


結局、疲れていることもあると思い早く寝る事にした。

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