電波に操られている

ev2021

Prologue1.電波は突然やってくる

日本は世界有数の電波大国だと聞いている。

皆、便利な生活を享受しているのは、全て電波、電気のおかげと言っても過言では無い。

身の回りを見ているだけでも、スマホ、タブレット端末、ウェラブル端末など、数えきれない程の電子機器を使っている。

通勤時には欠かせないスマホだが、どこででもつなぐことが出来るのも嬉しい。

駅やカフェには無料のWi-Fiスポットが設置されているので、どこででも情報をゲット出来るようになっている。

家に帰れば家電に囲まれている。

部屋の温度を調節するためのエアコン、それに加湿器。

料理を作るための電子レンジやIH機器。

もちろん冷蔵庫や洗濯機も必需品である。

日本ではもはや電波、電気の無い生活は一日たりとも考えられないように思う。


さて、そのような電波に囲まれている暮らしを送っている訳だが、突然「これが電波だあ~」と思える日がやってきた。

私はもともと磁場を作りやすい体質だと、大学時代からからかわれていたことも関係しているのかもしれない。

磁場を作りやすいというのは間違いかもしれないが、磁気を利用したカード等がすぐに壊れてしまうことから、このように言われていたのである。


真夏の日のことである。

家のある一室に入ると、突然耳元にリンリンという音が鳴り響くように感じた。

その部屋では本を読むことがあるのだが、耳元に届いた音がなかなか収まらない。

周囲の騒音だろうと思い、しばらくそのままで頁の上の字ずらを追っていた。

けれどもなかなか音は消えず、だんだんと気分が悪くなってきた。

読書どころではなくなり、部屋を後にした。

音の正体をつかもうと外に出てみたところ、何の音も聞こえなかった。

一体、何だったのだろう。

私は気になることはすぐにネット検索で調べる習慣がある。

この時は、電気機器がおおもとではないかと思い、色々調べてみると「低周波空気振動」ではないかとの結果に至った。

近隣には太陽光発電のパネルを設置している世帯が数多く存在する。

また、真夏時なのでエアコンの室外機の音もそれなりに聞こえる。

何らかの拍子で、様々な電子機器の音が増幅していることも考えられる。

低周波による音は人間の耳には聞こえにくい周波数である。

それを考えると、なぜこの日に限って耳元に音が聞こえてきたのか、という疑問が沸々と沸いてきた。

実際、家人にはこの音は聞こえなかった様である。


検索結果で「低周波音は他の周波数音と混在している場合に共鳴作用を及ぼす」との記載があった(出典;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8E%E5%91%A8%E6%B3%A2%E9%9F%B3 )


毎日便利に使っている電波や電気だけれども、この日はじめてその影の姿を見たような気がした。

私は仕事でも日々業務用電子機器に囲まれているので、色々と調べていこうという気になった。


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