『くまさんとパンダさん』 

やましん(テンパー)

『くまさんとパンダさん』 

 『これは、おとぎ話で、フィクションです。』



       🌃



 あるばんのこと、


 パンダさんは、どうしても


 ねつけないので


 森の中の小さな丘にあがりました。


 今夜は、素晴らしい、おつきさまが


 おそらに あがっておりました。


 『うわあ、よいお月さまだなあ。』


 パンダさんは、お空を見上げて、


 つぶやきました。


 すると、かたわらにあった


 木の枝の中なから


 小さな声がするのです。


 『ほんとに、よいお月さまです。』


 それは、くまさんでした。


 パンダさんとくまさんは


 仲良しで、むかしは、


 おなじおうちに暮らしていました。


 でも、ある日、なんだか


 よくわからないことがおこり、


 この森の中に、ばらばらに


 投げ出されました。


 からだは、動かないけれど、


 ときどき、意識だけ


 丘に登り、お話をします。


 『やあ、くまさん。ひさしぶり。ご機嫌いかが?』


 『うん。パンダさんはいかが。』


 『あいかわらず。でも、もう、ながく待ったなあ。体が、壊れそうなんだ。』


 『まあ、ぼくもだよ。こんなお月さまをながめられるのも、さいごかなあ。むかしは、もっとたくさんお月さまを見られたのに。』


 『お月さまの通り道がかわったんだよ。』


 『うん。』


 パンダさんとくまさんは、あまり、エネルギーがないせいか、あとは、ずっと、お月さまを眺めていました。


 『さあ、もう、帰ろう。また、きっと会えるさ。』


 『ああ。パンダさん。むりしないでね。』


 『くまさんも。』


 パンダさんとくまさんは、それぞれの体に帰ろうとしました。


 すると、なにか、もう、よたよたの、年取った人らしきが、森のなかをやってきました。

 

 『あ、しっくんだ。』


 『しっくんが、迎えに来たんだ。』


 くまさんとパンダさんは、うれしくて、飛び上がりました。


 『や、くまさんとパンダさんの、こえがした。』


 その老人は、あまり、あたりが見えてはいなかったのですが、パンダさんと、くまさんがいるのが、わかったようでした。


 それから、朝がきて、明るくなると、老人は、まず、枝に引っ掛かったくまさんを見つけました。


 それから、山を降りたやぶの中に、パンダさんを見つけたのです。


 『やっと、見つけた。』


 あのばん、ある迷子の惑星が、地球に、ぶつかりました。


 ものすごい風が吹いて、みんな、ばらばらになりました。


 人間のしっくんは、そのあと、やっと見つかって、病院に入れられました。

 

 でも、動けるようになっても、くまさんたちを探しには行けなかったのです。


 地上は、身体に良くない物質におおわれていて、長く立ち入り禁止になりました。


 長い時間のあとで、やっと、山に入れるように、なりましたが、しっくんは、もう、かなりな歳なので、ふらふらでした。


 それでも、くまさんたちが飛ばされた方向を考えて、探し回り、ついに、ここに行き当たりました。


 しっくんは、それから、山の中で、くまさんとパンダさんに、看取られて、亡くなりました。



 あり得ないことでしたが、しっくんたちが住んでいた街は、塊のまま、ぶつかってきた惑星に、飛び込んで乗り換えていました。


 だから、少しの人や生き物が、残りました。


 なにかの奇跡で、ぶつかってきた惑星は、地球と合体して、地球の軌道に乗りました。



 はるかな、むかしのお話です。


 今の地球は、合体したあとの地球です。



        🌍

 

 





 


 



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『くまさんとパンダさん』  やましん(テンパー) @yamashin-2

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