一緒に居たいの!
JOY POP
第一章 僕の・・・。
第1話 お母さんこれ!
寒くて暗くて冷たくて、お腹も空いた。
ときどき大きな音もして怖いし。
ココどこなの?ちょっと前まで
手と足も伸ばすと何かに当たるし、あたまも動かすと耳が当たる・・?。
何かに囲まれてるの?、突然ドンと大きな音がして傾いた、
さっきまで柔らかだった床のふわふわが急に冷たくなってきた!。
あれ?手と足が濡れてる?お水が入って来たよあれ?お腹も濡れて来たよ!。
ヤダ、お水がいっぱい入って来たよ!。
「たすけて、おかあさん、おかあさん!」アタシどうなるの?死んじゃうの?冷たいよ!。
お水が無い所に行かなきゃ!でもどこにもいけないよ回りは上も下も横もどこも行き止まり。「おかあさん、おかあさんどこにいるの?怖いよ!たすけておかあさん!」
でも返事は待っても返って来なかった。
「あたしどうなるの?死んじゃうのかな?」お顔のとこまでお水なの。
「もうダメなのかな?もっと遊びたかったな、苦しいよ!おかあさん、兄ちゃん・・・。」
「何やってんだあいつら?」隣のクラスの奴だよな?、石を川に投げている。
「ハネイシ?でもあの角度じゃ違うよな?」その先には段ボールが浮いて居る、
「早く沈めよ!賭けに負けちゃうだろ!」
「
「コイツらまさか・・?」思った時には駆け出していた。
「何してんだお前らあ!」
駈け降りた勢いのまま突飛ばし、川へ駈け込み沈み切る前に拾い上げた。
「間に合ったか?」恐る恐るのぞきこむ。
両手に乗ってしまう位の茶トラの仔猫が居た、顔を近付けたが・・。
「息してない?」さっきまで鳴き声してたのに、こっちの息まで止まってしまう。
「頑張れ、死ぬんじゃないぞ‼」口を明け鼻迄くわえ息を吹き込んだ!。
「ダメか?もう一度。」何で目を開けて呉れない?。
「三度目の正直、死ぬんじゃないぞ戻ってこい!」・・・。
「なんか呼ばれてる…、だぁ~れ、だれなの?」ケプッ!。
「ヨシ、
「エッ?食べられちゃう、助けて食べられる~‼」
「お腹がふくらむよ~、たすけて~」ケプッ!。
思いっきり引っかかれた、
「あれ、あったか~い、アタシたべられるんじゃ無かったの?」・・・。
投げ出したランドセル拾って、駆け出していた。
<暖めなきゃ、早く暖めなきゃ!>一目散に家を目指して駆けていた。
胸の辺りでもぞもぞと動くのを感じながら、走り続けていた・・・。
「お母さん!、お母さん!」大声上げて玄関に飛び込んだ。
その声を聴いてパタパタとスリッパの音を立てて、小走りして来るおっとりした感じ実年齢よりかなり若く見える其の人が俺の母親、ホンっとにこの人には
「
嫌そんな事考えてる時じゃないだろう、胸の中でゴソゴソ動く感触が、思い出させて呉れた。
「お母さんこれ!」ずぶ濡れの仔猫を取り出し、目の前に突き出した。
「あら?、雨が降ってるの、洗濯物濡れちゃうわね!」全身から力が抜けて行くのを実感した。
ホンっとにこの人は何で俺の母親なんだ?、俺の服が濡れてる事見てた見る所が違うだろ!。
そんなアホな母親に、大声が出て仕舞う。
「猫が死んじゃうよ!、
「
川に段ボールに入れられて流された事、沈んだ箱ごと引き揚げたが息をして居なかった事を。
「大丈夫だから、これだけシッカリ息してれば、直に温めて上げてお風呂涌いてるから一緒に入って温めなさい、ちゃんと鳴いたら教えて呉れる?、後は任せて!」風呂を指さした。
兎に角早く温めよう、脱ぎ捨てる様に服を脱ぎ、湯船に入って呼吸がシッカリして居る事を確認した、温まると今度は暴れ始める、こんなに元気動くなら、きっと大丈夫そう思いたかった。
小さな声だが確かに鳴いた、確かに鳴いたんだが・・・?。
「グルグルニャ」と
鳴いたら声掛けろと言われたよな?、思い出しリモコンの呼び出しボタンを押した、呼び出しのメッセージが風呂場に
「あったかーい!、アレまたお水の中に居るの?、イヤだお水怖い、助けてよ!」
そうお話ししても、捕まえられて逃げられない。
「放してよ、離して!」力いっぱい引っ掻いても、離して貰えないイヤだよ、助けてよ・・。
<アタシどうなるの、死んじゃうのかな?、暴れてもダメなの?>
「鳴いたの?、じゃあもう大丈夫ね!」厚手のバスタオル持って待ち人が現れた。
「さあ、温かい所に行こうね!」優しく抱き上げて呉れて居る。
「あんたは駄目、ちゃんと体洗って、しっかり浸かってから出て来なさい!」続けて出ようとしたんだが、きつく言われてしまった、あんたも川に入ったんでしょうに、と怒られた。
「大丈夫よ、前にもこんな子猫拾って育てたから、もっと手の掛かるあんたも育てたんだし!」
そう言いドアの向こうに消えて行った、その言葉に安心して居た、何故か説得力の有る言葉だった、母さんがそう言うなら大丈夫、きっと大丈夫・・。
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