思い出す顔(12月14日分)

寝込んで何日になるのか分からない。

時々起こされ、メシを貰うが、ほぼ吐いてしまう。


今日は青臭くてしょっぱいスープを飲まされた。

俺は半分寝ていた気がする。

よく覚えていない。

たぶんもうじき死ぬんだろう。


夢の中でフランの声を聞いた気がした。

それでサフのことを思い出して食べた。

どうせ死ぬなら、せめて彼の気遣きづかいは無駄にしたくない。

やっぱり甘すぎるが、不思議と美味うまくて吐かなかった。


明日も目が覚めるのか分からない。

これが最後の食事かも知れない。

できればもう一度フランの顔を見て、約束を破った事を謝りたい。

家族の顔よりフランの顔を見たいとは、俺もずいぶん薄情はくじょうになったもんだ。

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