樹々に包まれた旧宮に守られるように寝ていた少女は少年に手を引かれ、時と感情を知っていく。少女の育った宮は六十年前に滅びたと言われるが――玉がこぼれ落ちるようきらきらと輝きをもって語られ、美しくもせつない物語。少女が舞う理由を知ったとき、胸をしめつけられ、世界の刹那に立ち会える至高を味わえる。少女の歩む世界をあたたかい人々と一緒に見守り癒されてほしい。