今度こそ男性Vtuber!?

第1話

「マジか……」

 

 僕は政府より届いたメールを見て驚愕する。

 最早社会問題となりつつある男性の自殺。

 これに対する対抗策として日本政府が僕に対してとある依頼をよこしてきた。

 依頼の内容は『世界初の男性Vtuberとして活躍し、女性が男性と平常心で触れ合えるように慣れさせて欲しい』というものだった。

 実際の文言はものすごく丁寧でドン引くくらい腰が低いが。

 

 最早世界で一番有名と言っても過言ではなくなってしまった『世界初であり唯一のオナニー配信集団男性自殺誘導演説者系男性Vtuber』である僕。

 ……改めて考えるとやっべぇな、僕。放送事故でオナニーを配信して、その次の配信が自分の手にナイフを突き刺して人間として生きたいとなら自殺しろッ!という演説をぶちかましたんだろ?

 ヒトラーを超えるぜ……。

 頭どうかしているぜ!

 今、こうなっている原因のほとんどが僕にあると言っても過言ではない。いや、過言だわ。元々は男を性奴隷として扱う女性がいけないのだし!男性を見て二秒で理性がパンッ!ってなっちゃう女がいけないんだし!僕は悪くないんだしん!

 悪くないんだしん!


 まぁそんな感じで有名になった僕が動けば事態が動くと思ったのだろう。僕が男たちに自殺は良くないよ!と呼びかければとりあえずは自殺騒動は解決に向かうだろう。

 今の僕はそれだけ男たちからの信仰心が向けられている。信仰心だ。

 僕と和葉の甘々ラブラブリア充を見せつければ男たちも羨んでくれるに違いない。

 当然だッ!僕の和葉はめちゃくちゃ可愛いのだッ!世界中の男が羨むだろうねッ!

 それに、女性に男性の免疫をつける。という考えは素晴らしい!この世界の女性がツイフェミ的なことを言ってくれるようになれば、僕も自由にリアイベに行けることだろう!

 ずっと行きたかったリアイベに!

 水面とかゲーム仲間とリアイベを楽しめる!


「えっと……」

 

 僕はパソコンを操作し、慣れないメールを使う。

 なんで政府もメールで送ってくるんだ。TritterのDMとか、LINAとかで送ってこいよ。メールなんて使わないから使い方がいまいちよくわからない。

 機械音痴舐めんなよ!


「こう、か?……わかんない」

 

 僕は頭を抱える。

 マジでわからなかった。

 

「和葉ー!!!」

 

 僕は大きな声で和葉を呼んだ。


「はい。何?」

 

 ここにはいなかったはずの和葉。

 そんな和葉はさも当然のように僕の横に立っていた。僕の部屋のドアはきっちりと閉じられている。

 ちなみに和葉が立っている床は濡れているが、僕の部屋のドアから今立っている場所まで道のりに水滴は垂れていない。

 すっごいね!

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