第3話
「あぁぁぁ」
僕は机にうなだれ、意気消沈する。
思っていたよりも無理だった。
まさか勝てもしないとは。
あぁ。ちゃんと敵の攻撃に当たらないようにかなり細心の注意をはらい、行動していたつもりだったんだけどなぁ。
これじゃソロでは使えないだろう。サポートに回れば今でも強いだろうが。
「大丈夫?」
「ん。大丈夫」
僕のベッドに寝っ転がっている和葉が心配そうに声をかけてくれる。
和葉が僕のベッドの上で垂れ流しにしているせいで僕は毎日床に布団を敷いて寝る羽目になっている。
……和葉が一緒の部屋にいてくれるのは嬉しいからいいんだけどね。
ちなみにだが、和葉は毎日僕の部屋にいる。出前家は辞めたのだそうだ。そもそも出前家には大学生の時のアルバイトで入っていただけで、そんなに長くいるつもりはなかったのだという。ちゃんと就職した今となっては出前家に働いている意味なんてないのだという。
それでも働いていたのは僕に会えるからなんだそうだ。僕と婚約した今となっては出前家で働く必要もないのだと。
……就職しているのに、何故毎日僕の部屋にいるのだろうか?ちょっと不思議でならない。
「さて、再開しますか」
ボスに負けて割と萎えたが、和葉のおかげでメンタルを持ち直した。
とりあえず完凸させた新キャラの性能の確認をしなくては。
僕は【エスプリ】を開き直し、キャラ画面を開く。
本当に久しぶりにキャラクターを変更する。
新キャラのスキルのレベルも限界まで上げて、最高ランクの武器と防具をつけて準備完了。
とりあえずは使用感を掴むために訓練用のクエストを始めた。
このキャラは僕が今まで使っていたアタッカータイプとは違ってタンクタイプ。
だがしかし防御、体力はほぼ無きに等しい。
じゃあどうやって耐久するのか。それはパリィと呼ばれる技術を使用することだ。
このゲームでは盾上手く使うことで相手の攻撃を弾くことが出来るのだ。タイミングが完璧でもパリィが発生するのは50%だ。
このキャラの場合はパリィが発生する確率が100%。しかし、パリィのタイミングもシビア。まぁ僕でもない限りほぼパリィ出来ないだろう。
つまりこのキャラも僕専用キャラと言っていいだろう。
ちなみにパリィしたときに相手に毒やスタンなどの状態異常も与えられるのもこのキャラの強みだ。
パリィという技術の使用上複数人に囲まれるときつくはなるが、殆どの場合は相手の攻撃を一方的に弾き、状態異常をしこたま食らわせる害悪キャラとなるだろう。
……運営はなんでこんな頭のおかしいキャラばかり追加するんだ?
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