幕間 VTuberツムギの配信 2
(画面には、肩まで切りそろえられた茶髪の巫女が立っている。袴はミニスカのようになっており、後頭部には大きなリボンがついている)
(背景は青を基調にしている。白い切り抜きの湯気を見ると、どうやら温泉を模したイラストのようだ)
『みなみな様ー! ご機嫌よう! そんなわけでワタクシ北部九州の姫巫女ことツムギは、別府に来ております! いえーい☆』
――Sakuraさんがあそびにきました(連続中)
Sakura ツムツム、別府来てるんだー! どう? こっちは雨だよ(泣)
『Sakuraさん、こんばんはー! 確かSakuraさん、群馬にお住まいでしたよね? 豪雨の被害、大丈夫でございますか? 土砂崩れにはお気をつけて!』
――世紀末まるみえさんが遊びにきました(連続中)
Sakura 大丈夫、めっちゃ土砂降りってわけじゃないから! でも地面ぬかるんでてサイアク”(-“”-)”
『世紀末まるみえさん、こんばんはー! Sakuraさん、スリップ事故には十分注意してくださいまし!』
『さて、ワタクシが何故別府に来ているかといいますと、ワタクシがゲットとした予言に従ったからであります。そう、「女の蜘蛛が、川や海を血に染める」という、あの予言です』
世紀末まるみえ どーも。女の蜘蛛って、
Sakura そうなの?
『世紀末まるみえさんの仰る通り、女郎蜘蛛は滝つぼと深い縁がございます。特に、伊豆市の浄蓮の滝の女郎蜘蛛の話が有名かもですねー。知らんけど』
世紀末まるみえ こないだの牛鬼も滝つぼを住処にするパターンは多いからな。
Sakura へぇー。
――天音さんが遊びにきました(連続中)
――ピザカリフォルニアさんが遊びにきました(連続中)
天音 こんばんは。
ピザカリフォルニア ツムツム、今日は温泉? あ、別府?
『天音さんこんばんはー! ピザカリフォルニアさん、ですです。ワタクシ今、別府に来ております!』
天音 別府ですか。私も行きたいです。
ピザカリフォルニア うみた○ご行きたいなー。
『いいですねえ、うみた○ご! ワタクシも時間があれば行きたいものです』
『えーとですね、今、女郎蜘蛛は滝つぼにいる、という話をしていました』
天音 妖怪って、女の人ばかりのイメージがあります。
Sakura あー、確かにそうかも。『妖怪』って書くし。
ピザカリフォルニア 女の人が陰湿で腹の中に恨みを抱えているって考えたから、罪の意識で作られたんじゃない?
『おっとピザカリフォルニアさん、それは半分あたり……のようで、だいぶ・かなり間違いでございます』
『というのも、室町時代以前の妖怪は、付喪神のように性別がないか、あるいは男の姿に摸したものがほとんどでございます。鬼とかですね』
『ところが室町時代以降、私たちがよく知る「雪女」「山姥」などの女の妖怪が現れるようになりました。なぜ室町時代に増えたかと申しますと、これは諸説あるのですが――その多くは、山の女神や巫女が零落したものと考えられております。滝つぼに住まう女郎蜘蛛も、水神が零落したものと考えられておりますね。
零落した原因は、まああとで説明するとして』
『かつて妖怪は、「妖怪」とは呼ばれず、「もののけ」と呼ばれておりました。それが「妖怪」と言われるようになったのは、南北朝時代。
この時代、実は日本人女性の地位が決定的に地に落ちる、ターニングポイント──と言えるのでございます』
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