12月20日

 シロサイの自宅に押し寄せた警察。

 シロサイは捕まらなかったが、今もなお逃げ続けていると聞く。

 すべてはセバスチャンの思惑通り。

 セバスチャンに任せておけば、こんなこともこなせる。

 と言いたいところだが、俺のハッキング技術と、偽の情報を流したシラヌイの力もある。

 シラヌイ。

 彼女はどんなことでもやり遂げる。俺にとってはありがたいパートナーだ。

 今日は月曜日。

 学校のある日だ。

 明理と会うのが怖い。

 ……何を怖がっている。

 俺ほどの人物が怖がってどうする?

 そんな思いを胸に高校へと向かう。

 乾いた冷たい風が俺の肌をひりつかせる。

 雪の積もった通学路を歩き、高校にたどり着く。

「ねぇ。明理とケンカしたの?」

 無作法なギャルが俺に聴いてくる。

「……どうしてそう思う?」

 分からない。

 俺には明理の気持ちが分からない。

 そうか。分からないから怖いんだ。

「なんで、って。そう見えるからよ。今日話していないじゃん」

 ギャルの観察眼は優れているらしい。

「確かに……」

 そのまま話さずに一日が過ぎていった。

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