11月29日

 暗殺を頼んでから一日が過ぎた。

 わしは自分に刃向かう者は容赦なくねじ伏せてきた。

 今回もまた、それに準じただけだ。

 もう孫の顔を見ていない。

 富豪になった今、孫を危険にさらすわけにはいかないのだ。

 孫の名を、明理あかりという。

 この暗い世界にあかりをともしてほしい、とのこと。

 我が愚息ながらよい名前をつけたと思う。

 そんな愚息も今年で45歳。孫は18歳。

 もう立派な大人だ。76歳になったわしはもう立派なおじいちゃんということだ。

 蓄えたひげを触りながら感慨深く、目を細める。

 鏡に映った自分はしわくちゃで年老いた老人だ。そのしわ一つ一つに歴史がある。

 机の引き出しを開ける。

 そこには拳銃がしまってある。

 メンテナンスのため、分解し、銃弾を込め直す。

 これを使う日がこぬことを願う。

 それがわしの願い。

 孫の願い。


 わしはどこで間違えたのだろうか?

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