第128話 どうして、知ってるの?
アンデッドを倒した後、一度それぞれの家へと帰った俺たち。
夜も遅い中、帰るとウィンがドアを開けると同時に起きて目をこすりながらこっちを見てきた。夜遅い任務だったから、ウィンは今回外したのだ。
「ガルド様──どうでしたか?」
そう言って大きくあくびをする。
「大丈夫だったよ。明日ギルド行くけどいい?」
「それは、大丈夫です」
うとうとと視線が定まらない中言葉を返してくる。やっぱり、夜遅い中で任務をさせるのは良くなさそう。
俺も、疲れていたせいかシャワーを浴びた後すぐに眠ってしまった。
翌日、朝戦果の報告のため、ギルドへを足を進めた俺たち。
ギルドが開く直前、ギルドに着くとみんないた。
「エリア、ニナ、ビッツ。おはよう」
「先輩──ウィンちゃんも。おはよう」
「おはよう……ございます」
ニナが、笑顔で手を振ってウィンに話しかける。ウィンは、一緒ん驚いて目を大きく開けた後、ぺこりとお辞儀をした。
2人とも、仲がよさそうで何よりだ。
「とりあえず、ギルドに入りましょ」
「そうだな、エリア」
ビッツの言葉を皮切りに、俺たちはギルドへと入る。
「ガルドさん──皆さん、こんにちは」
「こんにちは」
朝だからか、人は少なめで物静かな雰囲気。
入るなりフィアネさんの所へ。
「ガルドさん──どういったご用件で?」
「ニナ──」
「ひゃ、ひゃいっ!」
俺が話しかけるなり、体をビクンとさせて反応する。何かあったのだろうか。
とりあえず、ここはニナに花を持たせよう。
エリアがニナの肩をもってひそひそと話しかける。
そして、ニナが一歩前に出て昨日の戦果を話した。
「素晴らしいですねっ! さすがは皆さん。期待に応える働きだと思います!」
「あ、ありがとうございます」
ニナは、ちょっと恥ずかしそうに顔を赤くして下を向いてしまった。
恥ずかしいけど、こうやって名前を売って──有名になっていくんだ。
「とりあえず、報告用の資料作成しますね。ちょっと待っててください」
「わ、わかりました」
ニナがそう言った瞬間、俺はニナの髪を優しくなでた。
「よく言えたね、偉いよ」
「あ……先輩」
ニナは顔を真っ赤にして黙りこくってしまった。もじもじと、俺から目をそらして下を見ている。
最近、ニナは不思議な態度をとる。褒めたら、ぷくっと膨れて背中をたたいたり、シュンと縮こまってしまったり。
あるいは、突然ぷくっと顔を膨らませたり──。意外と気分屋なのかな、ニナは。
そんな姿を、じろじろとフィアネさんが見ている。
なんなのかな? 顔に何かついているのだろうか──。
エリアは、息を吐いて呆れた表情をしていて、ウィンは──俺の服の裾をつかんで離さない。
それから、フィアネさんはこの場から離れて、書類を作成。
俺たちは、その間椅子に座りながらこの後のことを話したりした。
その時も、ニナは俺の隣に座ってべたべたしてきたり──。
ウィンは、それを見て複雑そうな表情をしていた。
ちょっと、気まずそうな雰囲気が流れていた。
しばらくすると、フィアネさんが返ってくる。
フィアネさんは、俺たちの行動をじっと見ていた。
何があったのだろうか──キョトンとしながらそんな風に考えていると、フィアネさんがこっちに向かって手招きをしてきた。
俺は何事かと自分を指さす。すると、ニナが軽く背中を叩いてきた。
「行ってきなさい、この色男さん」
「わかったよ」
やっぱり、ニナは不満そう。何をしてしまったのだろうか。とりあえず、フィアネさんの所に行こう。
奥の扉の方へ行くと、フィアネさんが廊下の立っていて、横にある部屋へと誘導してくる。俺もそれについていくように廊下を進むと、小さな応接室のような場所があった。
「とりあえず、座って」
「──わかりました」
対面式の机といすがあって、フィアネさんと反対側に座ると、フィアネさんがアイスティーを出してきた。なんというか、ぽわわんといいうか──ミステリアスな雰囲気をしている。きれいなお姉さんといった雰囲気がある。
フィアネさんはにこりとほほ笑んで、話を始める。
「とりあえず、単刀直入に話すわね。ウィンちゃんと、交際しているんでしょう?」
その言葉に、体をビクンと動かす。
「な、なんでわかるんですか?」
このことは、俺のパーティーしか知らないはず。
ウィンがそんなことを言うとは思えないだろうし、なんでわかるんだ???
困惑していると、フィアネさんはフフフと微笑を浮かべて言葉を返してきた。
「誰も言わなくても、あなたの顔にそうかいてあるわ。ウィンちゃんといるととっても嬉しそうで、ウィンちゃんもあなたと一緒にいると幸せそう」
「そ、そうなんですか……」
完全にばれてた。何一つ言い返せない。
俺って、顔に出やすい性格をしてるのかな……。
「まあ、それ自体は別に構わないわ。誰がどんな人を好きになって──どんな恋をするかは、その人にかかっていんだし」
「確かに、それはそうですね」
そうだ。それだけなら問題はない。恋人同士でパーティーを組んでいる人なんていくらでもいる。
フィアネさんは、アイスティーを一口飲んでから、オホンと咳をしてから言葉を発し始めた。
「それを踏まえて、これから私なりにおせっかいとして言わせてもらうわ。あくまで、あなた気が付いていないけれど、 このままいったら二人の仲が深刻なものになっちゃうから、あくまで私のおせっかいとして言わせてもらう、それだけ」
「は、はい」
すごい、持って回ったような──慎重なような言い回しをしてくる。それほど重要なことなのだろう。
ごくりと息を呑んで、フィアネさんの話を聞く。フィアネさんは、もう一度アイスティーを一口飲んだ後、重い口を開いた。
「ニナちゃんはどうするの? ニナちゃんは本気よ?」
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