第107話 王城での取引
魔道馬車で王城に向かった私たちは、現在謁見の間にいる。
「アイリス。例の物を頼む。たくさんあると言っていたが、因みにどのくらいあるのだ?」
「そうですね。五十匹分でかね。精力剤としては一〇〇万本分ですね」
「そうか。そんなにあるのか」
「アイリス。精力剤なんていきなり何の話をしているんだ!!」
「ルーヴェンもです。何で幼い女の子とそんな話を始めるのですか!!」
謁見の間に着いて早々、話し始めた私と国王陛下の話の内容に私はカイル兄様から、国王陛下は王妃殿下からお叱りを受けた。
「しかしな……私もこの年になり最近はあちらの方の元気がなくってな。
そこにアイリスが精力増強に役立つ素材を持っていると言ってきたのでな。エリックも欲しいだろう」
「まあ、そうですけど……謁見の間で話すような内容では無いように思いますよ」
「ブフゥ……」
私は、笑いを堪えようとして口を手で押さえたが、音が漏れてしまった。
内容では無いようって、エリック宰相様。ダジャレでか。
みんなの視線が私に集中したので、誤魔化すように話し始める。
「魔の森で憂さ晴らしをしていた際にジェネラルオークをたくさん狩って、鑑定したらジェネラルオークのある部位が精力剤の材料になると知りました。
そして私が持っていても使わないから国王陛下に提案したまでです」
「あの……よろしいでしょうか。孤児院で国王陛下がゾイルさんに見たこと無い物を焼かせて召し上がられていましたが……それって……」
「焼くように頼まれたので、焼いてそれを国王陛下はうれしそうに召し上がっていましたね」
「「「「確かに召し上がられていたな(ましたわね)」」」」
マキさんの問いにに孤児院で焼肉パーティーに参加したゾイルさんや他の人たちがそう言った。
「「あれはジェネラルオークの睾丸です(だ)」」
私と国王陛下は口を揃えて、マキさんの問いに答えた。
「食べても効果があると聞いたのでな。
淡白な味だが、ふわふわの食感が楽しいし、意外にうまかったぞ」
『……』
国王陛下が食べた感想を言うと私とサクヤ、国王陛下、意外のみんながドン引きして黙り込んでしまった。
私やサクヤは前世で、豚とか牛とか魚などの睾丸や精巣、卵巣などを使った料理があったし、食べたことあるので驚きはない。
「買い取ると言われてましたが、全部買い取っていただけるのですか?
一般に流通している物ではないですし、相場はわからないので、国王陛下にお任せしますけど」
「勿論だ。そうだな……全部で白金貨二〇枚で買い取る」
「わかりました。こちらが精力剤の調合レシピになりますので、薬師に頼んで作ってもらってください」
ほとんどの者がドン引きして黙り込んで何も言わない中、私と国王陛下の取引は、滞りなく終わった。
「アイリスは、医療ギルドの登録はしてないだろう。登録しておきなさい。
調合レシピの買取料を払っておくから」
「わかりました」
またまた使わないお金が増えてしまったアイリスであった。
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