第90話 カイル兄様を説得②
「アイリスちゃん。マーガレットに私を説得させて、ダンジョンに潜るのを諦めさせて、アイリスちゃんだけがダンジョンに潜るんなら、カイルが許可してくれるとか考えてない?」
「!!」
あからさまにじっと見すぎてしまったので、私の考えがバレてしまったのかな。
魔国の時はあっさり許可してくれたから、私だけならいけると思うんだよね。
それにパーティーメンバーだって、アナリスさんはSランク、ルシフェルは元魔王、マロンさんはAランクだから大丈夫だと思うんだよね。
「もし私が行かないで、アイリスちゃんだけだったとしても許可されないと思うわよ。
カイルのアイリスちゃんを溺愛しているのは異常というくらいだって、トマスから聞いているわよ」
溺愛過ぎなほど兄バカなのは理解しているけど、パーティーメンバーだけでダメならサクヤを借りれればいけると思う。
そんなことをここで話しているより、行って確かめた方が早いということで、カイル兄様の執務室に向かうことにした。
「カイル様。入りますわ。母上とアイリスちゃんを連れてきたわよ」
「王妃殿下か。アイリス。ダンジョンに潜りたいのですよね?」
カイル兄様に少しでも許可してもいいと思わせられることが大事だ。
はじめの一言が大事になってくるはずだと思っていると
「カイル。王妃殿下なんて他人行儀な呼び方しないで、お義母様とか呼んで欲しいわね。
カイルはマーガレットの婚約者で、私はマーガレットの母なのですから」
王妃殿下がそう言った。
確かにその通りなんだけど今、言うことではないような……
まさかこれも王妃殿下の作戦?
ダンジョンとは、全く関係ないことを言ってってやつ?
そう思い王妃殿下を見たが、これは作戦とかではないな。
ただ単にカイル兄様の王妃殿下呼びが気に入らなかっただけだ。
「わかりました。お義母様。ダンジョンに潜られたいのですよね?」
「そうよ。こんなワクワクすることに参加しないわけにはいかないでしょう」
「お義母様の立場を考えれば、いくらお義母様が行きたがっても、どんな危険があるかわからないところに行かせる許可は出せません……」
やはり、王妃殿下はダメみたいだね。諦めてくださいね王妃殿下。
「アイリスちゃん。私はダメだったみたいに思っているみたいたけど、私がギルマスのハーレさんに出した条件は、アイリスちゃんがカイルから許可をもらえれば私も参加するってものよ。
私、個人に許可がおりなくてもアイリスちゃんが許可をしてもらえれば、自動的に私もダンジョンにいけるの」
「そんな条件をギルマスと交わしたのですか。
まあ、話しの続きを聞いてください。
通常なら許可を出すことはできませんが、国王陛下やトマスに相談したところ……お義母様の好きにさせてやってくれとのことだったので、許可は出します」
「やったわ。さすがルーヴァンとトマスね。二人に不満があって家出してしまったけど、私の気持ちをわかってくれるのね」
ダンジョンにいけることが嬉しくって、国王陛下たちに家出先が報告されているということは、気にならなかったみたいだ。
この感じなら私も許可もらえるんじゃないかな。
私の魔法は規格外だって普段から言ってくるし、仲間も強いのだから。
今なら規格外と言われても何も不満はない許可さえしてくれるのであれば。
「次にアイリスだが、アイリスをダンジョンに行かせる許可することはできない」
何ですと!!王妃殿下は良くって、私はダメってこれいかに!!
その後も色々と説得を試みたが、私がダンジョンに潜ることを許可してもらうことはできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます