第81話 お坊っちゃんたちのパーティー名
マロンさんが行方不明になったことにお坊っちゃんが関わっている可能性あるとことがわかったけど、サマンサさんにも話を聞きたい。
何せ、サマンサさんから聞いた話と王都ギルドに来てみて実際に起きていたことに違いがあるのと、アイリスさんからマロンさん捜索依頼の申請を受け付けたのがサマンサさんだからだ。
「ルシフェル、サマンサさんからも話を聞きたいから、転移でファミーユに行ってサマンサさん連れてきて」
「わかった」
ルシフェルは、私のお願いを了承すると転移魔法でファミーユに転移していった。
目の前で、ルシフェルが消えたので、ギルマスは口を開けたり、閉めたりとパクパクさせながら驚いているけど、放置でいいだろう。
「アイリス様。サマンサを連れてきたぞ」
「アイリス様。アイリスちゃんに会えたんですね。よかったです。色々、やった甲斐がありました」
数分と掛からずにルシフェルがサマンサさんを連れて戻ってきた。
いつもは、ルシフェルは呼び捨てだし、サマンサさんはちゃん付けだけど、アイリスさんも居るので、紛らわしいから今だけ、私のことをアイリス様と呼ぶことにしたみたいだ。
「サマンサさん。色々やった中にアイリスさんからの依頼申請を受付したのに手続きしなかったってのはないですよね」
「そんなことするわけないじゃないですか。
そんな、ギルドに不利益になることやったらクビになっちゃいますよ。
まさか!!……マロンさんの捜索依頼出されていないことになっているんですか!!」
サマンサさんは、私の問いを否定して、アイリスさんからの依頼が出されていないことになっているかと驚いていたので、私は頷いた。
これは、ギルド職員の中に依頼申請を破棄した者がいる事が確定した。
「ギルマス。アイリスさんの依頼を破棄した者がギルド職員の中にいると思われます。至急調査してください。
あと、冒険者のアイリスさんへのあの態度はおかしいので、冒険者の中にも関係者がいる可能性もあるので、そちらも調査してください」
「アイリス様やマーガレット王女殿下は、どうなされるおつもりですか?」
「私は、元ズイラン男爵家三男のお坊っちゃんを探すよ」
「元ズイラン男爵家三男ってどういうことですか?偉そうにしていたリーダーっぽい人のことをパーティーの仲間の人たちがズイラン男爵家の三男だって言っていたのですが……」
ああ、お坊っちゃんがズイラン男爵家三男って名乗ったんじゃなくて、あの時に一緒に居たパーティーメンバーたちがお坊っちゃんのことをズイラン男爵家三男って言ったのか。
まあ、面と向かって絶縁されたんだから、平民になったのに貴族を騙ったりしたら重罪だもんね。
流石にそれくらいは理解しているでしょう。
しかし、そのことをお坊っちゃんは、知っているのかな?
まあ、何も考えていないお坊っちゃんだったけど、絶縁されて、多少なり変わったりしていれば、気づいているだろうけど、変わってなさそうな感じもするし、気づいていないだろうな。
「ちょっとやらかして、絶縁されちゃったから、ズイラン男爵家三男のお坊っちゃんは、元ズイラン男爵家三男で、今の身分は平民なんだよ」
「「そっだったんですか!!」」
あら、アイリスさんだけでなく、サマンサさんも驚いてらっしゃる。
「貴族が関わっているなら私の手に負えないと思ったから、色々やってアイリス様に動いて頂こうと思っていたのに」
サマンサさんや。私に動いてもらう前に相談すべき相手がいたのではないですかね。
ギルドに貴族は権力使って介入出来ないのだから……
「サマンサさん。ギルマスにまず相談なりすればよかったのではないですかね」
「そそうですね。アイリス様に話す前にギルマスに言うべきでした」
どうにかしようと色々企んでいたようですが、ヌケているところもちゃんとあるのですねサマンサさん。
「そういえば……お坊っちゃんのパーティー名って何て言うんだろう?」
「そういえば、私をパーティーに勧誘してきたり、パーティーに入れろと言ってきたくせにパーティー名誰も名乗らなかったな」
「ダメクさんのパーティーは、ワルキューレってパーティー名です……」
『……』
ワルキューレって戦乙女だよ。前世の世界の神話に出てくる戦士の神オーディンに仕える武装した乙女たちの事だよ。
ここは、異世界だし違ったりするのかも知れないけど……皆、微妙な顔をしてらっしゃいますね。
「間違っているかも知れないけど、ワルキューレって戦乙女のことですよね?」
「そうです。戦の神に仕えた武装した九人の女神たちの事ですわ。
スクラルド王国にも女性だけの隊がありまして、リットが私の専属になる前に所属していたのですが、女神たちにあやかって、九人の女性の精鋭部隊をワルキューレ隊って言います」
「あの時、男しか居なかったけど……男だけのパーティーで、ワルキューレってヤバいね」
私の言葉にその場にいる全員が頷いた。
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