第78話 偽物?
私は、冒険者ギルドに一人で来ている。
まあ、スノーとグレンが一緒ではあるんだけどね。
「こんにちは。何か依頼ありませんか」
「あら、アイリスちゃん。よく来てくれたわ」
受付嬢であるサマンサさんが、よく来てくれたって言うってことは、私を待っていた感じなのかな。
何かいい依頼でもあるかな。それとも厄介ごと?
「聞きたいことがあるだけどさ」
「何でしょうか」
「アイリスちゃんって、王都に昨日行った?」
「はい。行きましたよ。国王陛下に用がありましたから」
「スノーとグレンと一緒に?」
「いいえ。昨日は、スノーとグレンは王都に連れていってません」
「やっぱり……本人じゃなかった」
昨日、王都に行ったか聞かれるってことは、依頼ではないな。厄介ごとの方だったか。
サマンサさんは、一つ一つ確認するように聞いてきて、肝心なことはなかなか言わないな。
言いにくいことでもあるのかな?
「何かあったんですか?王都で」
「そうなのよ。昨日、王都の冒険者ギルドにアイリスと名乗る冒険者が現れて、好き勝手していったらしいのよ」
私は、王都のギルドには、行ったことないし偽物ってことだね。
ギルドカードは、アナリスさんと紛らわしいから変更してもらって、フルネームで登録されている。
まあ、偽者さんがアイリス・フォン・アリステラなんて、名乗っちゃったら、貴族の名を騙ったとして、罪に問われちゃいますからね。
騒ぎを起こしたりする程度なら捕まっても軽い罪で済むから、そこは気を付けているんだろうけど、もしも私を連想させるようなことがあれば、名前を騙っていなくても人生終了だけどね。
「私の偽物が現れたってことですか?」
アナリスさんを騙るならSランクを強調するだろうしね。
「アナリスさんみたいに名前が似ていて、背格好同じくらいで、従魔を連れているだけならいいんだけど……もし、悪意をもってアイリスちゃんを貶めようと騙っているなら重罪よ。
子供が一人で思いつくようなことでもないしね」
身長が低い種族でないのなら、人族ってことになり、イコール子供ってことになる。
子供が貴族を騙るような考えられるわけがないので、裏に誰かいるね。
「アナリスさんとルシフェルと一緒に、王都のギルドに行ってみます」
流石に私一人で、王都に行くのは許可されないだろうからね。
「わかったわ。王都のギルドには連絡しておくわ」
カイル兄様に許可をもらいに行ったのだが、マーガレット義姉様もいらっしゃり、マーガレット義姉様が一緒に行くと言い出したので、専属騎士のアーロンさんとリットさんも護衛として側に居ないといけないので、六人で行く事になった。
ギルドが荒くれ者が多くても流石に王女殿下や王女殿下付きの騎士にいちゃもん付けたりしたいしないよね。
「ここが王都の冒険者ギルドか。
昨日、騒ぎを起こした私の偽物さんらしい方のせいで、私やアナリスさんは、絡まれるかもしれないですね」
王城に転移して、ギルドの前に到着したので、気を引き締めて入ることにした。
『!!』
「また来やがったか!!」
「おい!今日は、昨日より人数増えているし、そっくりなのもいるな」
ドアを開け、中に入ると注目されるのはいつもの事だけどさ。
うわぁ……何かやらかしたんだよ。
めっちゃ冒険者の皆さん殺気だっているじゃないのさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます