第61話 パーティー結成

「ああ、アナリスさん。ギルマスがお話したいことがあるそうです」


 アナリスさんに気づいた受付嬢が受付カウンターからアナリスさんに声をかけた。


 私を取り囲んで、言い争いをしていた冒険者たちが、入り口にいるアナリスさんの方を見た。


「なんだよ。お前アナリスじゃないのかよ。それなら違うって早く言えよな。チビが!!」


「アナリスに憧れているのか知らんが、似たような従魔を使役して、紛らわしいんだよ」


「髪も銀髪に染めているんだな。銀髪の者は珍しいから騙せると思って、寄生するつもりだったんだな」



「そうだそうだ。危なくSランクだと思っていたから私のパーティーに入れてやろうとしていたが、人違いなら役に立たぬ者を入れるところだった。

 私に無駄な時間を使わせたことと、私を危険にさらす可能性があり、欺こうとした罪は重いぞ。

 父上に言って、お前みたいな平民のガキは罰してもらう」


 違うって言いましたけどね。

 人の話を聞かずに勘違いし続けたのは貴方たちですよね。


「おお!アイリス。依頼受けに来たのか?

 なんで囲まれているんだ?」


 彼らが本物のアナリスさんの登場で、アナリスの方に向かったことで、隠れて見えなかった私が目にとまり、ルシフェルが話しかけてきた。


 今度はアナリスさんが囲まれたので、巻き込まれたくないルシフェルは、私の元にやってきたのでこれまでの経緯を説明した。


「マジかよ!特に貴族のお坊ちゃんに関しては、本人だけじゃなく、家まで巻き込んだ大事になるだろうな」


「どうしたのだ?お前らじゃまだどけ!!」


 ルシフェルが大きな声を出したので、アナリスさんも気づき、取り囲んでいた彼らを払いのけこちらにやってきたので、アナリスさんにも経緯を説明した。


「愚かだな。お前らとはパーティーを組む気はない。

 アイリスにそのようなことをする輩どもと組みなどゴメンだね。

 Sランクである私に寄生する腹づもりなんだろうが」


 自分たちの発言がアナリスさんからブーメランとして返ってきた。


「どうするつもりなんだ。アイリス?特に男爵家のお坊ちゃん」


 男爵芋のお坊ちゃんね……どの家かわからないし、カイル兄様や国王陛下にこのお坊ちゃんの家や父親である当主がどうなのか聞いてからな。


「貴方!!お名前は?」


 私は、お坊ちゃんを指差しそう言った。


「不敬だぞ。先に名乗らず、貴族の私に名乗らせようとし、更に指を差すなど!!不敬罪も追加してやる」


 うん。平民がそんなことをしたらそうだろうね。

 でも私は公爵令嬢で当主の妹だからね。


 最高位貴族の公爵家の私が名乗らず、下位貴族の男爵家のお坊ちゃんに名を名乗らせるのは当たり前田のクラッカーだよ。


「凄いな。公しゃ……グフゥ……」


 ルシフェルが私の正体を言いそうになったので、身長差があるので、口をふさぐことはできないので、足を蹴った。


「何するんだ。アイリス」


「私のことを話そうとしたでしょう?今はダメだよ」


 坊っちゃんの驚く顔を見るのは、後に取っておかないとね。


「アナリスもいるから特別に名乗ってやろう。

 私は、ズイラン男爵家三男のダメク・フォン・ズイランだ」


「ブフゥ!!」


 私は笑いを堪えようとしだが、押さえた口から音が漏れてしまった。


 笑わせないでよ。フォンを抜いたらダメグズ要らんじゃん。

 性格や態度が名前にピッタリだよ。


「そうですか。私はアイリスです。貴方が勧誘したいアナリスさんと一文字違いで、容姿も似ていて、従魔を二頭連れているのも同じなので、紛らわしくてごめんなさいね」


「まったくだ」


「アイリス。私とパーティー組もう。ルシフェルとあとできたらサクヤも一緒に」


「はい。いいですよ。帰ったらサクヤに聞いてみます」


「頼む。忙しいだろうからサクヤに関してはたまに参加してくれるだけでもいいと伝えてくれ」


 話が終わったとばかり、アナリスさんが私をパーティーに誘って来て、私は了承した。

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