第52話 アイリス、魔国に魔獣狩りに行く①
(スノー、彼らが何て言っていたかわかる?)
(わかるよ)
フェンリルだから、耳がいいんだよね。
(何て言っていたの?)
(もうこんなに快適だし、安心して暮らせているのにもっとよくしてくれるのかと言っていたよ)
(教えてくれてありがとう)
なるほどね。
安全面は、結界があるのでそんなにすることないけど、快適さは前世の発展した生活を思うとまだまだなんだよね。
「アイリス様ではないですか。どうされたのですか?」
「少し慣れてきた頃かなって思って、皆の様子を見に来たんだよ。
皆は、これから狩りに行くの?」
「そうです。魔の森も魔国ほどではないですが、いい魔獣がおりますので、体が鈍らないようにするためのいい訓練になります」
「そういえば、この前門のところで騒動があったみたいでしたが、大丈夫だったんですか?」
「あれね。ファミーユは、私が張った結界で被われているじゃない。
スクラルド王国全体を被う結界もそうだけど、あれは、私の魔力は今は使われてないけどね」
「魔王様たちや罪人の魔力が使われているんですよね。
罪人を処刑せず、有効活用するなんてよく考えられてますね。
ファミーユの結界は、アイリス様だけで、維持されているんですよね。
魔力が多く、魔法に長けている私たちでも驚くことばかりです」
魔王は、彼らと同族で同派閥だったのだ。
思うところはあるんじゃないかとも思うけど、結界を通過できるので、私たちに敵意を持っていることはないみたいだ。
「そうだね。この結界は中の者に敵意や悪意のあるの者は弾くようになっているでしょう」
「はい。そうですね。弾かれてるの目撃しましたからね」
「それで、弾かれた商人を尋問したりして調べてみたら、国王陛下に献上したりしているから、そのうちに商品化されらる予定なんだけど、現状、町全体で使われているのは、ファミーユだけだから、魔道具を盗んで、構造を調べて自分達で売り出して、儲けようとしてたみたいなんだよね」
「なるほど、それで弾かれたということですね。
愚かなことですね。アイリス様の作られた魔道具は、誰でも作れるものではないないというのに」
「そうですよ。特に周りの魔素を取り込み仕組みは素晴らしいです。
魔石の交換が必要ないので、すごく便利ですもんね」
そうなんだよね。そこだけは、国王陛下の命令で、商品化を進めている魔道具師や錬金術師でも難しいみたいようだった。
なので、魔素を取り込む術式を刻んだ魔石を私が提供したから問題は解決されたので、商品化は順調に進んでいるみたいで、近々売り出されるみたいだ。
「アイリス、管理人は暇だから我もついて行っていいか?」
マンションで、別れたはずのルシフェルが私たちを追っかけてきたみたいだ。
確かに、前世のマンションの管理人より、魔道具とかで解決してしまうので、やることが少な過ぎて暇かもね。
「ルシフェル様も来られたなら、アイリス様も一緒に狩りに行きませんか?
聖獣様もいますしね」
「こらこら、お前らの住むマンションの管理人であるが、我はもう魔王ではなく、同じファミーユの町の住民なのだから、敬称は不要だ。
「じゃあ、マンションの管理人だから、管理人さんって呼んだら、今のところマンションは、皆が住んでいるところしかないし、増えたらまた違った呼び方すればいいね。
それかもうルシフェルって呼んじゃえば」
「流石に高位魔族の方を呼び捨てにはできませんから、ルシフェルさんか管理人さんって呼ぶことにします」
「まあ、それならいいだろう。堅苦しいのは苦手なので、魔王の時からルシフェルと呼べと言っておったのだが、頑なに拒否されてな」
力関係があって、上下関係をはっきりさせとかなきゃいけなかったから、呼べなかったんじゃないかな。
「まだ、ギルド支部も出来ていないが、皆も気になるだろうし、スノーとグレンもすぐに帰って来て、物足りなかっただろうから、魔の森ではなく、魔国に狩りに行くのはどうだ?」
「勝手に行ったら、領主様に咎められませんかね?」
「大丈夫だろう。魔物の素材を提供したりすれば……
最悪、アイリスが何とかしてくれるだろう」
(魔国の魔獣や魔物の狩りに行きたい)
(魔国の魔獣を調理してみたいですね)
ルシフェルさんや……私を生け贄にしようとするのやめてもらいたい。
スノーもグレンも乗り気なので、行くのは、やぶさかではないけどさ。
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