第29話 火の鳥さんもやってきた
夕方なのに、何か外が騒がしいな。
(アイリス、来た)
(スノー何が来たの?外も騒がしいみたいだけど……)
(僕と同じ聖獣が来た。外が騒がしいのは、そいつの所為だと思う)
(聖獣が来ているの!!カイル兄様に報告するのが先かな?住民たちに大丈夫だと落ち着かせるのが先かな?)
スノーに続いて、新たな聖獣が来たとな……
またカイル兄様になんか言われるな……
(カイルに報告してからでいいと思うよ。あいつも住民に攻撃とかしないだろうからね)
攻撃の意志があったら、そもそも私んの張った結界内に入れないからそれは、心配してないけどね。
(じゃあ、カイル兄様のとこに行くけど、スノーはどうする?)
(僕は、アイリスが来るまで、あいつと話しているよ。そうすれば、住民も危険はないと判断して安心するだろうからね)
(わかった。私一人で、カイル兄様に報告に行くね)
私は、スノーとわかれて、カイル兄様の元に向かった。
「カイル兄様、お話があります」
「外が騒がしいのと関係があるのか?」
「はい。スノーの話によると、新たな聖獣が来ているらしいです」
「スノーに続いて、またも聖獣様の方から来られたのか!!
アイリスは、聖獣様ホイホイか何かか?
聖獣様が好む特有の匂いでも発しているのか?」
私の匂いをクンクン嗅ぎながら、そんなことを言うのは、やめいていただきたい。
でも聖獣が好む特有の匂いを発していたとしても人間であるカイル兄様には、わからないと思うのですけどね。
「カイル兄様、私の匂いを嗅ぐのは、やめていただきたい。恥ずかしいです」
「ああ、済まない」
謝りながら、嗅ぐの続けないで……
「オホン!それで、今回来られたのは、どの聖獣様なんだ?」
「スノーは、あいつとしか言ってなかったら、わからないです」
「では、聖獣様の元に行くか。スノーが一緒ではないということは、スノーは聖獣様のところに先にいっているのだろう?」
「はい。そうです」
私は、カイル兄様と一緒にスノーと一緒にいる聖獣の元へ向かった。
そこには、大きな火の鳥さんがいた。
スノーは、私としか意志疎通が取れないが、スノーと聖獣の様子を見て、住民たちも様子をまだ見てはいるが、落ち着いたのか騒ぎは、収まっていた。
(スノーお待たせ)
(全然待ってないよ。あいつと話してたしね)
(スノーのお陰で、住民たちも落ち着いてくれたみたいだし、ありがとう)
(アイリスにありがとうって言われた。僕嬉しい)
(いつも感謝しているよ)
スノーは、尻尾を振って大はしゃぎしている。
(火の鳥さんが聖獣なんだね。ということは、鳳凰とかフェニックスとか朱雀とかかな?)
(フェニックスだよ。あいつは、一定周期で炎に包まれ、火の中から何度も復活するんだよね)
(やっぱり、そうなんだ。どのくらいの周期なの?)
(五百年おきだね。数日前に復活したらしいよ)
(やっぱり、フェニックスも私に名前を付けてもらいにきたの?従魔契約とかしに……)
(そうみたいだよ)
(フェニックスだから雄だよね?)
フェニックスは、雄しかいないって言われているし伝承だけど……
(そうだよ。僕と同じね。ちなみに残りの二匹は、雌だよ)
紅蓮は、猛火の炎の色に例えられるから火の鳥だからグレンにしようかな。
(フェニックスさん、はじめまして、アイリスです。名前なんだけど、グレンってどうかな?)
(気に入りました。これからスノー共々よろしくお願いします)
グレンって、名前気に入ってもらえてよかった。
でも、気に入らなかった場合は、どうなるんだろうか?
別の名前に変更できるのかな?それとも気に入らなくても変更できないとかなのかな……
もし、変更出来なかったらかわいそうだから、スノーとグレンは、気に入ってくれたからよかったけど、次は、もっと慎重に考えよう。
どうなのかをスノーとグレンに後で聞いてみよう。
(グレンは、復活して、すぐにここに来たの?)
(そうでございます。復活したおりに、アイリス様の魔力を感じ、惹かれたためこちらに来た次第です)
グレン、喋り方が丁寧だな。
スノーみたいに気安くっていいのに……
(グレン、私に様付けしなくていいよ。スノーみたいに気安い感じで話してくれていいからね)
(そうだよ。グレンは、昔から堅いんだよ)
(お主が軽すぎるのです。アイリスさ……アイリスは、主なのですぞ)
おお、アイリス様って、言いそうになったけど、ちゃんとアイリスって、言い直してくれたよ。
(アイリスも様付けは、しないようにするが、喋り方はご容赦くださいませ)
(わかったよ。でもグレンも家族になるんだから、スノーみたいにとはいかなくても、もう少しだけでも普通な喋り方にしてほしいな。よそよそしくって寂しいからさ)
(ど努力します)
まあ、すぐには難しいよね。
(グレン、私の兄様を紹介するね)
離れたところで、成り行きを見ていたカイル兄様のところに向かった。
「カイル兄様、従魔となり、新たな家族に加わったフェニックスのグレンです」
「グレン。私は、カイルです。スノーと共にヤラかし過ぎる妹のアイリスを護って欲しい」
カイル兄様は、そう言って、グレンに頭を下げた。
スノーの時に敬称は、要らないと言われたので、今回は付けなかったようだ。
しかし、ヤラかし過ぎるとは、相変わらず酷い言われようだよ。
周囲から規格外やヤラかし過ぎと何度も言われ続けているがアイリスは、ヤラかし過ぎていることを全く自覚していなかった。
大きいままだと、屋敷内に入れないし、また騒ぎになると困るので、スノーと同じように小さくなってもらった。
小さくなったグレンは、私の肩に留まり、私たちは、屋敷に戻り、住民たちもそれぞれの家に帰っていた。
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