第11話 馬の要らない馬車です
お庭に到着した。
「渡すと言いましたが、まだ造ってないので、今から造りますね」
(創造魔法 クリエイト)
見た目は馬車だが車輪もなく馬が引くわけではなく手綱のかわりにハンドルの付いている馬車。
見た目は完全に通常の馬車だが外からではわからない簡易なサスペンションが付いた馬車を三つずつ作った。
「何だ?一方は普通の馬車のようだが……もう一方は車輪がないな」
「はい、車輪がないのは馬を必要としない魔動馬車で、馬がいらないので馬の休憩が必要ありませんし、馬車自体が浮いて、ハンドルを握り行きたい方向を念じれば思い通りに好きな方向に移動することができますし、更に馬が引く馬車の五倍は早く走ります」
私は、魔動馬車の説明を国王陛下たちにした。
「私とカイル兄様は七つの村々を廻るのに一週間かかったのですが、この魔動馬車ならあのくらいの距離であれば、行ったその日に到着できますし、早朝に出発して用事をさっさと済ませてしまえば日帰りもできちゃいます」
「何!!馬車なら一週間かかる距離をその日のうちに着くだと!!」
「もう一方は完全には見た目は普通の馬車ですが、お二人は王族や公爵家の方なので宿を取り寝泊まりされていると思いますが、この馬車は車内を時空間魔法で拡張してありますので野営をしなければならない場合でも大丈夫です」
次にもう一方の馬車についての説明をした。
「馬車の中にキッチンがあるので、調理し食事をしたり、部屋もたくさんありますので、家族皆で寝ることも出来ますし、各部屋広々でベッドやお風呂、トイレ備え付てありますからお屋敷馬車とでも名付けましょうかね」
「「「!!」」」
驚いてくれたみたいですね。プレゼントのしがいがありますね。
「アイリス、私が思っていた以上にやりすぎだ」
あれ?カイル兄様それは言いすぎですよ。
そんなことないです。快適に移動したいじゃん。お尻痛いの嫌だもん。
「これは両方ともに馬車革命と言っていい代物じだな」
「移動が楽になるのは助かるからな、ありがたく頂戴しよう」
「しかし、見た目が普通の馬車であるお屋敷馬車は中を見せなければ問題はないが、魔動馬車は量産して普及させてからでなければ気安く使えんな……これは、他の者でも作れるのか? 」
「はい、面倒なので魔法で作りましたが、魔動馬車に関しては車輪のなしの馬車を造り魔石をメイン用とサブ用の二つを設置してハンドルを取り付けてハンドルとメイン魔石と接続できるような構造にすればいいだけなので私でなくても造れると思いますよ」
造りは簡単だから知識があれば誰でも造れると思うけどな。国王陛下たちの顔を見るとそうでもないのかな?
「そうか、なら落ち着いてからで構わぬから馬車職人と魔道具師に制作方法を教えてやってくれ」
「わかりました、お屋敷馬車はいいのですか?」
「お屋敷馬車は、時空間魔法を使える者でなければ無理だからな、先ほどまでは国が把握をしている時空間魔法使いは、存在しなかった」
時空間魔法使える人いないの?便利な魔法だけど稀少ってことかな?
「今知らされたことにで現在、存在する時空間魔法使いは世界でただ一人アイリスだけので、他の者には造れないから普及させたいならアイリス一人で造ることになるし、誰にも真似できんから大儲けできるな、馬車職人は職を失う者も出るかもしれんがな」
私しか造れないなら大儲け間違いなしだね。でも職人さんが仕事失いかねないと聞くとな……
「アイリス嬢しか造れないので価格も高くなりますから王家や上位貴族が買えるくらいでしょうね」
造れる者が一人しかおらず、稀少な魔法で造られていれば、価格が高くなるのは必然だよね。
「平民も使う乗り合い馬車と今後魔動馬車を造ることになるのですから職人が失業するような心配もないでしょう恐く……」
「国王陛下、アイリスの存在がこの国だけでなく、この世界を大きく変えてしまいそうですね」
「そうだな……この国が発展するならよしとしよう」
カイル兄様……私に世界を変える力なんかないよ。
国王陛下もカイル兄様に同意しちゃってなるようになれって感じだ。
エリック宰相様は現状に理解が追いついてないって感じの表情をされている……なぜだ。
「カイル兄様、ハルムート公爵領の商人が来るって言ってましたよね?
交渉しなければなりませんからそろそろ村に戻りましょう」
「国王陛下、エリック宰相、我々はこれで失礼します」
「わかった、また何かあれば王城に来てくれてかまわない」
「わかりました」
私は自分達が使う用の魔動馬車とお屋敷馬車を無限収納に仕舞った。
国王陛下とエリック宰相様に二つの馬車が収納できる容量のアイテムバッグを渡し、カイル兄様とまた転移魔法でナンシーさんの村に転移した。
「お帰りなさいませ。カイル様、アイリス様」
「「ただいま」」
ナンシーさんの村に転移するとそこには専属たちがいて出迎えてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます