彼女は知らない

@non00987

第1話

「はぁはぁはぁ」僕は走っていた、自分が怖いと思うものに飲み込まれないようにただ走ることしかできなかった。



走り疲れて少し休もうといつもの川沿いの堤防に座った、ここなら僕を飲み込もうとする奴はやってこない、ここにくると心が明るくなる目の前に広がる景色が、川を流れる水たちの音が僕を癒してくれる、この場所は僕にとって心の避難所だ、「寒!」勢いで家を出たせいで的な服を着ていない「これじゃ風邪ひくな...」「何してるんですか?」突然聞こえたその声に驚き思わず携帯を落とした「だ、誰ですか?!」「通りすがりのただの通行人ですが?」通行人?こんな時間に?「何でここに?」「散歩ですよ、夜風に当たりたかったんです」なんだ同じか「あなたは?なんでこんなとこに?」「同じです!僕も散歩...」「散歩にしては随分息が上がっていらっしゃいますね?」「いや!それはその走ればあったかくなるかな〜と、」言えないよな〜「そうですか、こんな夜更けに夢中で走っている人を見かけたのでつい聞きすぎてしまいました。それでは」「ちょっと待ってください!あなた本当に夜風に当たりたかっただけですか?僕にはそうは見えません」彼女は口調に似合わず僕と同じような半袖の上着を羽織っているだけで寒さ対策などまるでしていない「散歩ですよ散歩やけ散歩」「やけ散歩?何かあったんですか?」「別れたんです!!彼氏とさっきだから飛び出してきちゃったんです!」「聞かせてくださいよ」「え?」「全部吐き出してくださいよ」「聞いてくれるの?」「はい」「それじゃあ...私と彼は小さい頃の幼馴染で仲良かったんですよいつか結婚しようね?って何回も言ってるのに彼いっぱい家に女連れ込んでるですよ!私はずっと彼女なのに!それで私がいくら言ってもやめないしそれどころかもっと女の子に手出すからほんと許せないですよ!それで今日ついに私キレちゃって...だって酷いんですよ!私と同棲してる部屋でついに私以外の女とやったんですよ!それで怒って出できました。」「それは彼の方が悪いですよ(こんな美人な彼女がいるのに)彼女ほったらかして女連れ込むなんて最低ですよ」「うん...でも最低ってやめて?私まだ好きなんだ」「あんなことされても?」「母!どうしようもない子ですよね?はは」「一途なんですね」「だから私!しばらくしたら戻るそしてまたいつものようにする、それだけで幸せだもん!」「そうですか...」「ねぇ?君は?」「はい?!」「君はなんでこんなとこにいるの?なんかあるよね?」「死ぬ!!予定なんです...」「なんで?」「よくあるやつですよ学校に馴染めなかったり親が毒親だったり将来が不安とかそうゆう」「そっか、辛かったよね...」「全然いいんですよ!もう人生やめるんで!」「じゃあなんでさっきあんなに無我夢中で走ってたの?」「あれは〜逃げてたんです」「何から?」「心の闇から」「心の闇?」「心の闇ってやつは僕を飲み込むと僕を掴んで離さない、捕まったら最後僕は抜け殻のように動けなくなるんです」「それで全力疾走?」「いざ捕まっちゃったら自殺できなくなっちゃうんで」「私あんまわかんないけど自殺ってそんな綺麗なものじないと思うよ?」「え?」「痛いしすぐ死ねないしあ!あと死にきれなかったら一番辛いよ!身体使えなくなっちゃったり大変なんだよ?」「...」「自殺しなくてもいいと思うな〜学校が嫌なら辞めればいいし親が嫌なら誰かのうちに泊まるとかいろいろやりようあるし」「でも!」「人ってね?死ぬ以外のことなら案外なんとかなるんだよ?君が嫌なことは死ぬより嫌?人生まだ長いんだから」「そんな長く生きたくないです」「今はそう思ってるかもだけど三年後は多分そう思ってないよ?だって三年前早く死にたいなんて思ってだ?」「ないです」「でしょ?だから大丈夫だよ死ぬ気でやればどうにだってできるよ」「僕にできますかね?」「できるよ、君は今日ここで死んだと思って新しい人生を生きれば大丈夫!」「ありがとうございます。」「じゃあ約束!三年後!またここに集まろ!その時は笑顔の君が見たいな!」「はい!僕も結婚指輪をつけたあなたが見たいです!」「ふふ!お互い頑張ろ!」僕と彼女は指切りを交わして別れた。



それから数日経った頃あの日彼女が帰った家から一人の青年が出てきたその指には結婚指輪が光っていた、ついに結婚できたのかと考えていると「久しぶりだね!元気してた?」と、突然その青年な話しかけられた、ふと顔を上げるとその青年は従兄弟の兄だった、それから久しぶりだからいろいろ話したいと近くの公園に行った、「結婚されたんですか?」「あ、これ?うんに年付き合った彼女とね」ん?どうゆうことだ?「幼馴染じゃないんですか?」「幼馴染?!昔死んだよ、ずっと好きだったのな...」頭の整理が追いつかない「幼馴染のことまだ好きですか?」「え?!誰にも言うなよ?好きだよ運命だと思ってた」こんなことがあるのだろうか耐えきれない「最後に一つだけ聞いていいですか?」「うん、なに?」「家で怪奇現象みたいなことありませんか?」「え?!あるよ、いつからだったかな〜だいぶ昔からず〜っとあるよ」「それって特に酷い時とかありましたか?」「あーそう言えば彼女が来た時は以上に物音が激しかったな〜」「そうですか」「いやさ〜あれ絶対事故物件だよ、普通あんなことないよね〜」「もうわかりましたありがとうございました」「え?あ、うん」そうして僕は逃げるようにその場を立ち去った。



あれから三年の月日が経ち約束の日がきた、僕は全ての事実を知り彼女が来ないことを願いながらあの日の堤防に着いた、まだ誰も居ないしばらくスマホを触って待っているとあの声がした「な〜にしてるんですか?」僕は立ち上がり笑顔で彼女の指輪をしている手に触れた、僕の手は彼女手を掴まなかった

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