僕の頭の中

@kakushika7

第1話

 高校一年生。義務教育から解放され、自由に自分の意思で人生を歩んで行けるようになる一年目。そんな世の中の大人たちの言葉を信じて、胸を躍らせた俺がバカだった。高校に入学して約半年経ったが、中学の頃から変わったことといえば、通学時間が伸びたことと、顔のニキビが増えたことくらいだ。

 大体高校なんて、世の中の16歳はだいたい行ってるし、いや、もちろん高校に通ってない16歳もいるけど、それはごく少数で。かといって、高校行ってない人をバカにするつもりなんか微塵もなくて、むしろ、大人の敷いたレールに従うくらいなら、高校なんて通わず、中卒でいればよかったと、今更思ってるし。まぁ、でも、俺にそんな勇気ないんだけど。あれ?なんの話だっけ?


 「けいくーん、遅刻するわよー」


 俺がベットの上でくだらないことを考えていると、一階から母のおっとりとした、それなのにやけに通る声が聞こえてきた。高校の入学式の朝にこの声で目を覚ました時は絶望した。なんだ、結局何も変わらないんじゃないかって。中学三年間この声で朝を迎えたのと同じように、高校三年間もこの声で俺の1日がスタートするのだと。日常に変化はないのだと。

 


 












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