アラフィフメタボ転移する。
義助
第1話 売られに行く私。
急いでいるせいか、ガタガタと揺れる荷馬車。道の悪さのせいか私の体を揺さぶる。
私は檻の中に入れられ、その荷馬車の荷台にのせられていた。
私はソロで冒険者をしていた。
結構強くて、冒険者ランクはBランクまで上がったわ。
依頼によってはパーティーで動くこともあったけど。一人で活動するほうが多かった。
ある街に入って食事をとった時に混ぜられていた薬。
食事の途中で急に眠くなり、気が付けば両手を縛られ裸に剥かれて転がされていた。
「お前はある男の性奴隷になるんだ。
あのお方は女型の魔物をいたぶるっていう特異な趣味を持っているからな、どんな要望にも応えられるようにしないとな……。
魔物とエルフは違うっていうのに聞かなくてな。
という訳で、俺たちの商品になってもらう。覚悟しておけ!」
私の周りで数人の男が笑っていた。
そう言われて、どのくらい経ったのか……。
「お前、結局俺たちに懐かなかったな。
処女以外のものを俺たちが奪ったはずなのに、心を折らずそんな目をする女は初めてだ。
まあ、あのお方はクスリに染まっていく姿が好きらしい。
奇特な人だよ。
さあ、大枚白金貨五枚の女だ。
せいぜいあのお方を楽しませることだな」
貫頭衣の隙間から手を入れいたぶりながら奴隷商人の男は言った。
ギリギリの状態。
負けてもおかしくなかった。
心が折れそうになる。
それでも何とか耐えることができた。
でも、「あの方」という男の所に行けば……、今まで以上の事をされたら……私は私じゃなくなるかもしれない。
何もできずその運命に逆らえない。そんな恐怖に怯えていた。
今、私はドロアーテの豪商に売られていくところ……。ただ、本来の道筋とは違うらしい。
御者台に乗る奴隷商人が時間を間違え、
「間に合わせないとヤバいんだ!」
と焦っているみたい。
「ケーイ!」
「キキィ!」
急に聞いたことがある声が響いた。
討伐の依頼でよく戦った魔物の声。
ゴブリンの合図。
外を見ると、街道沿いに多くのゴブリン。
ああ、確か、この道はゴブリンが出るから使われてなかったんだっけ?
今更ながら思い出す。
護衛さえ居ないこの荷馬車。
「何でこんなところにゴブリンが!」
奴隷商人から聞いた最後の言葉。
飛びついたゴブリンは御者台から引きずり降ろされ、錆びたナイフで腹を裂かれていた。
馬にも何本もの弓矢が刺さり、
「ヒヒーン!」
という嘶きを一つした、後動かなくなった。
揺れる荷馬車。
周りを囲むゴブリン達。
現在のご主人である御者台の奴隷商人に武器を奪われ、魔法さえも使用を封じられた今の私。
このままでは、まともには戦えない。
更には、奴隷商人から離れられない制約まで付いている。
助かっても終わり……、助からなくても終わり……。
悔しさで涙が出てきた。
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