第百二十八話 虚~神獣の暗殺者






ウロというキャラクターについて




 虚はとにかく喋らないキャラクターだった。


 何せ彼にはCVがない。


 カッコいい立ち絵も、専用のBGMも、活躍だって沢山あるというのに全く喋らない謎の人物。


 それこそが『ダンマギ』における虚の特徴であり、アイデンティティだったのである。


 寡黙な暗殺者、獣の位階における最高位『神獣』を宿すモノ、類稀なる武術の達人で請け負った依頼は必ず成し遂げる仕事人――――――――彼という獣人ニンゲンは、そういう生き物であり、在り方なのだと、俺はことこの状況に至るまでずっと信じてきた。


 ……いや、白状しよう。

 それは信じていた等という『綺麗なもの』じゃなくて、ある種の決めつけに近い感情だったのだ。



 虚というキャラクターは喋らない。

 虚というキャラクターは実直だ。


 意外とコミカルなところがあったり、想像していたよりもちゃんとコミュニケーションが取れたり、案外仲間想いだったりと、そういった多少のギャップのようなものこそあるけれど、それでも根本的なキャラクター像は原作通りなんだと、盲目的に思いこんでいたのである。



 だからこれは、この露呈は




「いや、絶対満足させますから! ね、一緒に三人で楽しみましょうよ! 食事? いらないいらない、とりまホテル行って交尾しましょ、ね、お願いしますよ~」




 これまで俺が経験してきたどのキャラ崩壊よりも、唐突で、衝撃的で、脈絡がなく、そして何よりも信じられなかった。






◆ダンジョン都市桜花・第百十八番ダンジョン『天城てんじょう』第三中間点・歓楽街エリア





『……………………』



 誰もが例外なく沈黙していた。


 俺や花音さん達はもちろん、あの火荊ですらサイレント状態である。



 ……だって、アレが虚さんって、そんなのぶっちゃけあり得ないというか




「……よし、帰ろう」

「待って下さいっ」




 目の前の光景が受け入れられなくって、借り家に逃げ帰ろうとする俺の背中を強い力で引っ張る桜髪の少女。



「気持ちは分かりますけれどっ、かくいう私もまだ全然頭が追いついてないですけれどもっ、あの人はっ、虚さんですっ!」

「あのチャラついたパリピのナンパ野郎が?」

「あのチャラついたパリピのナンパ野郎が、ですっ」




 言われてもう一度だけ数十メートル先の彼の姿を見やる。



 黒いフードに、一見スリムにみえる体躯、両目は金色に輝いていて、声は愛嬌があるというか、どこか共感性に富んでいて





「ねぇ、オレまだDTなんっすよ~。だからどうかお姉さん達のそのムチムチプリンなボディでオレを男にしてくださいっ。いや、自分で言うのもアレですけど、相当でかいっすよオレ」





「よし、帰ろう。アレは間違いなく赤の他人の空似さんだ」

「分かりますけどっ、気持ちは痛い程分かりますけどっ」



 帰ろうとする俺と絶対に帰させまいとする花音さん。


 思えばこの時の俺達は、相当なパニック状態に陥っていたのだろう。


 だって寡黙だけど仕事人だと思ってた仲間が、裏ではあんなガツガツ系のナンパ行為に勤しんでただなんて――――クソが、今日日きょうびあんな分かりやすいナンパ男なんて最近流行りのアマイチャ系ラブコメの導入でしか見んぞ。


 

 クソ、凶一郎よりも酷い負け犬ム―ブをかます奴がこの世界にいただなんて、なんか色々ショックだよ!


 あぁ、もう、どうしよう。今俺、すっごく見て見ぬふりがしたいと思ってる。


 多分下手に踏み込んで、幻滅したくないんだろうな。


 今となっては、何もかもが『もう遅い』状態だが、できれば虚さんには、あのままでいて欲しかった。



 だってさ、ウチのパーティーにはただでさえ『火荊ナラカ』という特大の爆弾娘がいらっしゃるのよ?


 そこにこれからは、頭動物さんごっこなナンパ男が加わるとか、考えただけでも……おお、怖っ。




「えーい、クソッタレ!」




 とはいえ、このままナンパ野郎を放置しておくわけにもいかないので、俺は胸の奥で泣きながら、現場に向かって歩き出した。



「三人は先に帰っててくれ。虚さんは……とりあえず俺が何とかします」




 リーダーは辛いよ。









「よう、色男。面白そうな話してんな、俺も混ぜてくれよ」



 俺がポンと肩に手を乗せてやると、奴は最初ものすごい険呑とした目つきで睨んできたが、すぐに顔色を変えた。




「あっ……あの、えっと……」



 瞬間、あらかじめ起動させておいた俺の未来視が虚さんが逃亡する未来を予測したので、すぐにリカバリーに入る。



「大丈夫です、絶対悪いようにはしませんからっ。あなたのプライベートは守りますし、これが原因で懲罰や解雇をしようとも思っていません。だから、ひとまず落ち着いた場所でお話ししましょう、ねっ」




 彼が逃亡しないように細心の注意を払いながら、お話しようぜと提案するチンピラゴリラ。


 ……何が悲しくてナンパ男を口説かなけりゃならんのだと、その時心底から思ったね。






◆ダンジョン都市桜花・第百十八番ダンジョン『天城てんじょう』第三中間点・小洒落た居酒屋『j黒木屋』




 木製のテーブルを囲う野郎二人組。


 卓にはウーロン茶とノンアルコールカクテル。


 後は枝豆とか焼き鳥とか唐揚げといったいかにもな面子が並べられていて、要素だけ切り取ればマジでタダの飲み会だ。



 しかしてその実態は





「それじゃあ、虚さん。色々“話して”もらおうか」

「……ハイ」



 しょんぼりとうなだれながらも、彼はしっかり口でコミュニケーションを取っていた。



 やっぱり喋れるんだ、ちゃんと。


 ダンマギファンとしては、もうこれだけでお腹いっぱいになる程の衝撃映像なんだけれども、ここで大げさにリアクションを取るのも感じ悪い。



 俺は努めてスマイリーに振舞いながら、虚さんに尋ねた。




「どうして今まで黙ってたんです? ちゃんと話せるじゃないですか」

「いや、その……なんと言いますか」



 若干、テンパリ気味に目を泳がせながら、大皿に乗ったねぎま串をつまむ金眼の暗殺者。

 こいつ、本物だ。この状況で物食えるとか、どんな胆力してやがる。



「アレですよ、アレ。仕事する上でのキャラ付けと言いますか、ウチらの業界って舐められたら終わりみたいな所があって、だから自分を不気味にみせるっつーか、クール系で決めるっつーか、まぁそんな感じのアレです、ハイ」

「えっと」



 俺は彼の不明瞭な説明を自分なりに咀嚼し、そして衝撃的過ぎる事実に頭を抱えながら、確認を取った。



「つまり虚さんの無口キャラは完全に営業用で、素のアンタは、その、そんな感じだと」

「そうっす、そうっす! うわー、代表さん話まとめるのうめぇ! マジリスペクトするっす!」



 おべっかではなく、本心から感心しているかのような表情で俺を讃える虚さん。


 もうこの時点で俺の情緒はキャパオーバー気味だったのだが、必死に自分を取り繕って、このキャラ崩壊地雷原を歩んでいく。




「黒騎士の旦那からも、アンタは昔から無口な人だって聞いてたんだけど」

「そう、そうなんっすよ。聞いて下さいよ代表さん。この寡黙キャラってやつ、実はメッチャムズイんっすよ」



 そうして語られたのは、エセ無口キャラによる、無口キャラあるあるの数々だった。



「基本、コミュニケーションはメールとかハンドサインだし、バイブス上がった仕事仲間とも全然仲良くなれないし、それに何よりマジクソだるいんっすよ。いや、そこは喋れやって心の中は、毎回セルフツッコミですわ」



 訂正しよう。

 それは、あるあるというよりも、ただの常識だった。


 なんなのこの人、もしかしてアホの子なの?



「その、こんな事を言うのは差しでがましいようで恐縮なんだけれど、そんなに不便だったのなら、さっさと止めれば良かったんじゃ」

「それな! 実はオレもこのキャラ何度も捨てようかなと考えては挫折して、またすぐに後悔してーの辞めてーのの繰り返しで軽くメンブレ起こしてたんっすわ」

「……要するに辞めようとは思っていたんだけど、辞めれなかったんだね……どうして?」



 虚さんは二本目のねぎま串を齧りながら言った。




「それはもう、不便デメリより利点メリの方がデカかったからっすよ。無口キャラ演じとけば、獣くせぇ奴らと一々喋らなくて良いじゃないっすか。オレ嫌いなんっすよ、獣人族オレたちが」




 爆弾発言再び。


 けれど今回は驚かなかった。


 何故ならそういった考え方の獣人族は、そう珍しいものじゃない。


 同族嫌悪主義者カーニヴァル――――獣人族でありながら、その血やコミュニティを否定する者達。



 彼らは自分達の内側に流れる血を嫌悪し、そしてそれ以上に閉塞的な(あるいは逆に好戦的な)獣人族の社会を疎んでいる。



 そしてどうやら、虚さんもそういうタイプだったようだ。




「しきたりにこだわって不必要なまでに同族を縛ろうとする老人達も、自由だ平等だと叫びながら暴れ回る事しかできないバカ共も全部まとめて滅びちまえばいいのにって、自分本気で思ってるんで、アイツらと喋らなくていいこのスタイル実は結構気に入ってるんっすよ」



 嫌いな奴らと喋らない。

 それを徹底する為に、無口キャラを演じ続けてきた。



 予想していた理由とは大きく違っていたけれど、これはこれでシリアスだった。



 少なくとも下手なツッコミを入れてギャグに昇華していいものじゃない。



 大分手段がアホ寄りではあるが、きっと彼なりの生存戦略だったのだろう。



「あと、クールな無口キャラってやっぱりモテるじゃないっすか。それで女子受け狙って色々設定固めていく内に雁字搦めになったって側面も九割くらいあります」

 


 訂正。

 やっぱりこいつはタダのアホである。




「……オーケー、事情はある程度理解しました。それじゃあ、次の質問に入ります」

「ウェイ」

「(かっるいな)、さっきのナンパは、何か意図があってのものだったんですか? 実は別口で依頼を請け負っていたとか」

「代表さん。面白いこと考えますね。そのハンパねぇ妄想力活かして作家とかになったらどうです?」

「もしかして、バカにしてる?」

「いやいや、マジクソリスペクトしてるっすよ」



 カラカラと晴れ渡る秋の空のような朗らかさで笑いながら、金眼の暗殺者は言う。




「でも残念ながらアレに深い意図なんてないんっすよただただ自分、単純に交尾がしたかっただけっす!」



 俺の知っている虚さんは、そんな事言わない。










 彼らの名誉のために断っておくが、獣人族は別に性欲旺盛というわけではない。


 基本のベースは人間なのだから当然といえば当然なのだが、彼らに発情期という概念はない。

 


 だから虚さんがアレなのは、彼自身の個性であり、在り方なのだ。



「まぁ、人様のプライベートに干渉する気はないんだけどさ」




 そこの部分を誤らないように頭の中でしっかりと考えをまとめながら、俺は虚さんに言ったのだ。



「あんま、人に迷惑をかけるような絡み……というかナンパまがいの事はしない方が良いと思うぜ」



 俺個人の考えと、クランマスターとしての判断がおよそ三対七でブレンドされたありきたりな注意。


 こんなもん、適当に流されるか反論されるに決まってると、半ば諦めながらの「諭し」であったが、しかし意外にも虚さんは二つ返事で納得してくれた。




「そうっすよね。オレも代表さんに言われてハッとさせられました。ただでさえ獣くせぇ自分が、野獣丸出しな感じで迫ったらそりゃあ怖いっすよね。ごめんなさい、これからは気をつけるっす」

「えっ……あっ、ウン。そうしてくれると助かるよ」



 驚く程、あっさりと。

 事態は収束してしまった。



 念のためにもう二、三度注意の言葉を投げさせてもらったが、虚さんはこれもあっさりと承諾。

 しかもなあなあに流す感じじゃなくて、理解と自省がきちんと伝わってくるような――――それこそ、花音さんが反省している時のような――――ちゃんとしたやつである。




「自分、馬鹿なんで今の代表さんのトーク聞くまで、全然気づきませんでした。わぁ、めっちゃ恥じぃ。そりゃあ、DT捨てられないわなぁ」

「……その、こっからは余談というか気持ちを楽にして聞いて欲しいんだけどさ」

「はいはい」



 大きめの唐揚げを無邪気に自分の小皿へと移しながら、俺の話に耳を傾ける虚さん。



 明るめのアッシュカラーの髪の上にピョコンと生えたネコ科の耳は、大変可愛らしく、その中性寄りの美貌は、どこからどう見てもイケメン顔だ。



「その顔とスタイルなら、引く手数多なんじゃないの? 漁らなくても向こうから寄ってくるっていうかさ、特に同じ獣人族からは」

「代表さん」



 虚さんの瞳がかつてない程真剣な光を帯びる。



「DTってのはゴミじゃないんっす。これまでのガキだった自分に別れを告げて、大人の階段を昇る為のイニシエート的なアレだと自分は思ってるんっすよ。だから、そこに嘘や悔いだけは残したくないんですわ」



 言ってる事は、まとも……ではないけれど、少なくとも十代の童貞男子らしいピュアな考え方だとは思う。



 でもなぁ。



「けどさ、アンタさっき女性二人を同時にお持ち帰りしようとしてたよね」

「はいっ! はじめてが三人プレイとか、めっちゃテンション上がると思って!」



 やっぱりどこかズレてるんだよなぁ、コイツ。



 心はピュアボーイなのに、迫り方が完全に野獣なのよ。




「いや、俺もまだ未経験だからそんな深い事は言えないんだけどさ」

「……え?」



 滅茶苦茶意外な顔でこちらを見つめる神獣の暗殺者。



「ごめん、俺なんか今変な事言った?」

「いやいや、変どころか、ありえんてぃですって! ごめんなさい、流石にその冗談は笑えないっすわ。もしかしたらDTの俺を気遣ってそんな嘘をついてくれたのかもしれないっすけど、逆に傷つくというか、ないわー。彼女持ちのDT気取りとか、一番タチ悪いっすよ。テスト前に学年一位の秀才君が『今回のテスト全然勉強してないわ―、やべーわー』とか言って無理やり馬鹿グループに合わせようとしてるのと同じくらい信じられないっす。……いやいや、絶対やる事やってるよね、リップサービスのつもりかしんねぇけど、こっちからすれば見え見えの逆見栄けんそんなんだよ、みたいな!」

「お、おう」



 すげぇ剣幕で喋るやん。

 もう無口キャラだった頃の面影なんて一切ないな。




「でも悪いな、本当なんだよ。俺は童貞だ」

「あんな可愛い彼女がいるのに?」

「あんな可愛い彼女がいるのにだ」



 虚さんの表情が、うろんげに歪む。



「さーせん。信じたいのは、やまやまなんっすけど、流石にそれはキツいっすわ。だって代表さん達、しょっちゅうキス写真撮られてるじゃないっすか。しかも結構ディープなやつ」

「そうな」



 それについては、否定しない。

 


 我輩は童貞で、彼女は処女だが、やることはやっているのだ。


 というか最早、一線を越えてないだけで、下手な経験者以上に致しているという自覚はある。



 これがそれこそ、『まだキスは愚か手も握った事のない“シャイボーイ&ガール”な関係性』だったのならば、俺ももっと堂々と童貞アピールができたのだが……いや、なんだ童貞アピールって。そんな虚しいアピールして何になるのさ。



「だけど本当に俺は童貞なんだよ。そこは信じて欲しい。ていうか、偽装童貞とか意味分からんだろ」

「そこが処女との違いっすよねー」

「まぁな」



 うなずきながら俺は、あんまり良い文化じゃないよな、と漠然と思ってしまう。



 男の童貞は情けなくて、女の純潔は価値があるっていうのもホントおかしな話だ。



 どっちがどうとかそういう話じゃなくて、そもそも区別すること自体がどちらの性に対しても(そして他の性別に対しても)、失礼というか、不躾というか。




「(……いかんな、こういう軽口にまで目くじらを立てるようになってる自分がいる)」



 良くない傾向とまでは言わないが、元々の俺はそんな聖人君子みたいな人間ではなかったはずなのに。



 いつの間にやら野郎同士の軽口にも、“マナー”や“正しさ”を求めてしまうようなつまんない自分がいて、なんというかそれは




「……つまんねえよな」

「代表さん?」

「あっ、ごめん。何でもないんだ。だからつまり俺が言いたいのは、俺が童貞だって事で」

「何回言うんっすか、それ。てか、そんなリピされると逆に怪しいっつーか」

「いや、マジでマジで。というか今後もしばらく童貞の予定だから」

「なんかその余裕ある感じがDTっぽくないんすよね、がっついてもないし、DTコンプも拗らせてないし」

「そりゃあ、なんというか、俺にはちゃんとしたパートナーがいるからな」

「……やっぱそこっすよねー」



 何かを納得したかのように弱々しいため息をつく虚さん。



「俺も頭では分かっちゃいるんですよ、本物の非DTと素人DTは、やっぱ違うんだって。金で抱くのと、関係性を育んだ上での“行為”とじゃあ、経験値がまるで違う。素人DTの“素人っぽさ”ってのは、つまるところそういう部分でしょって話でさぁ」

「いや、ごめん。俺、素人童貞ですらないから、ちょっとわかんない」

「そこは重要じゃないんっすよ。大事なのは交尾の経験じゃなくて、恋愛の経験――――兄さん見てると、それがイヤでも理解できちまって、自分のしょうもなさにバイブス下がりっぱなしですわ」



 机に顔をうずめる神獣の暗殺者の気持ちが、俺には痛い程わかる。



「(……そうだよな、なんか童貞ってだけで自分が劣った人間のように感じちまうんだよな)」



 実際は罪でもなければ悪でもないのだけれど、でもやっぱり、どれだけ取り繕ったとしても、世間の童貞を見る目は厳しいのだ。



 いや、童貞に限った話じゃない。


 未婚、彼女いない歴イコール年齢、ぼっち――――それらは総じて誰かに迷惑をかけているわけでもなければ、法律を犯しているわけでもないのに、“良くないもの”として扱われる。



 空気感のようなものだ。

 童貞は恥ずかしいものだというアトモスフィア。


 俺らはそれを信じ切っていて、そして多分、死ぬまでそうだと思い続ける。



 恥ずかしくて、寂しくて、劣っていて、負けている。



 虚さんの場合は、これに加えて獣人族という種族的な問題まで絡んでくるからなおさらなのだろう。



「(……何とかしてやりてぇなぁ)」



 おそらく彼に足りないのは、経験と自信なのだ。



 普段はキャラ付けで喋らず、プライベートでは周りがドン引きするようなナンパをしかけてその都度敗北。



 根が素直でロマンチストな分、欲求や理想が全面に出ちゃうんだろうけど、それが仇になっている事に本人だけが気づいていないパターンである。




「(……なにか、人に迷惑をかけず、同時に虚さんも楽しめるような『教材』があればいいんだけど)」




「あっ」




 稲妻が走る。

 頭がチカチカと光輝いて、興奮を覚えた背筋がブルリと震えた。



 そうだ、そうだよ。


 俺は持ってるじゃないか、恋愛を学ぶのにうってつけで、しかも最高に楽しめる




「なぁ、虚さん」



 俺はジョッキ一杯の豆乳ドリンクを一気に飲み干し、その言葉を言う。




恋愛の教科書ギャルゲーって知ってる?」





――――――――――――――――――――――




・虚のタイプと守備範囲


 獣臭くない二十歳以上の女性で、自分を甘やかしてくれるお姉さんタイプ。

 おっぱいがデカイとなお良し。

 逆に年下や妹タイプは、どうしてもそういうタイプとして見れない。




 ・次回、ギャルゲー回! おっ楽しみに!


 












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