作戦

エリー.ファー

作戦

 世界を救うために、少女を犠牲にする。

 少女を犠牲にするために、世界を作る。

 世界が少女のために犠牲になる。

 犠牲とは世界と少女のことである。

 少女が犠牲になった時、世界が生まれる。

 少女と世界に犠牲はつきものだ。

 犠牲から世界が生まれ、少女が消えた。

 世界から少女へ送る犠牲の物語。

 少女は世界のために犠牲になる。

 犠牲から始まるのは少女の世界だ。

 犠牲だけの世界に少女は必要なのか。

 少女だけが犠牲になるなら世界なんていらない。

 少女を世界にするために犠牲になってもらう。

 犠牲と少女と世界があった。

 犠牲が必要なら少女と世界を差し出そう。

 世界が少女を求めるのは犠牲のためだ。

 世界のためには少女も犠牲になるしかない。

 これから世界は犠牲を払って少女を救う。

 これまでの世界に少女の犠牲は無意味だった。

 犠牲と世界は少女と同義である。

 犠牲になるのは少女ではなく世界だ。

 世界が失われる前に犠牲になる少女はいるか。

 ずっと少女でいるために世界を犠牲にしようと思う。

 世界が始まり、犠牲が生まれ、少女で終わる。

 少女を犠牲にする世界に意味があるのか。

 犠牲を求める世界に少女は立ち向かった。

 少女の姿は犠牲になった世界そのものだった。

 ありふれた世界に少女は犠牲を求めた。

 少女が犠牲になるのは世界的事実だ。

 少女を失うくらいなら世界に犠牲になってもらいたい。

 少女と世界を足して犠牲を引く。

 少女を学ぶのは犠牲がつきものの世界への反逆の証だ。

 君はまだ少女と犠牲と世界を知らない。

 私が少女でいるために、犠牲になった世界があるのです。

 世界も少女も犠牲にしない。

 世界的少女、犠牲になる。

 この世界の犠牲者は少女になりました。

 犠牲が必要なら世界は少女を差し出すだろう。

 世界に不必要なものは犠牲と少女だ。

 少女は世界を憎み、犠牲について考えた。



 

「この中から作戦名を選びます」

「作戦名じゃなくて、作戦の中身を考えましょう」

「いえ、作戦名が先です」

「というか、全部長いので却下にしたいのですが」

「却下は受け付けません」

「じゃあ、選ぶこともできません」



 私には少女がいた。犠牲になった。世界は平和になった。

 そんなことがあっていいのか。

 いいわけがないだろう。

 私たちは自分たちの知っている平和が余りにも弱々しい存在によって維持されていることを知らなければならない。

 誰かの死から学ばねばならない。

 分かっているなら後ろへ下がりたまえ。

 君のことだ。

 君の無知さを語っているのだ。




「どうですか、この作戦名は」

「長すぎます」

「最後なんて、無知という単語が入っているんですよ」

「入っているから何なんですか」

「いいじゃないですか。かっこいいし」

「却下で」

「いやいや」

「いやいやとかじゃなく、却下」

「はあ」

「却下で」

「何度も言わないでください」

「却下です」




 世界的少女の犠牲。




「これ、いい感じじゃないですか」

「短くていいと思います」

「そういうことじゃなくて、言葉の雰囲気が」

「はあ、雰囲気。なるほど。ありますね、雰囲気」

「そうでしょう」

「そうです、そうです。はい、じゃあそろそろ作戦の内容を決めていきましょう」

「まず、このシャツを作りましょう」

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