二つ

望むことは二つ、二つだけ。

一つは僕を知る全ての人間が僕を完全に忘れる事。そしてこれからも僕を覚えられない事。

これが叶えば僕は誰の目も気にせず好きなように生きられる。我慢することもない。

暗い部屋でひとり、悲しみに支配されることもない。心が痛いと感じることもない。


もう一つは大きな翼。あのどこまでも続く青い空を飛べるような大きな翼が欲しい。

そうすれば僕はこの世界で最も自由になれる。そして鳥たちと羽ばたいたり、美しい世界を最大限楽しむことができる。

雲一つない空を見上げてため息を漏らすことも、重力の残酷さを感じることもない。


それ以外はなにも望まないから、残酷なまでの孤独に耐えてみせてるから。

だから、だから叶えてくれ。二つだけだから、頼むよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る