未来を知った武田勝頼は何を思う

Kくぼ

第1話 諏訪四郎

 諏訪四郎。武田晴信の四男として生まれました。母親は諏訪の姫で湖衣姫という信濃一の美人と言われたまあ、綺麗な人です。現代でもきっとアイドルとして通用した、いや、この当時の美女は現代では受けないかもしれませんがいい女には違いありません。いつの時代も可愛い子は正義なのです。


 四郎は今6歳。諏訪に住んでいます。武田家の四男なら古府中(山梨県甲府市)にいても良さそうなものですが、武田晴信の嫁同士がなんというか権力争いのようなバトルがありまして、特に本妻の三条の方は京都の出身で、はるばる甲斐の田舎にまで嫁いで参りました。将来武田家を継ぐと言われております長男の義信はこの三条さんの子供です。武田家跡取りには信という字がつけられます。つまり、妾が産んだ子(勝頼)など武田ではなーーーいって感じなのである。


 武田晴信、有名な天下の武田信玄さんですが結構女好き、英雄は色を好むのです。男も嗜んだらしいがそれはそれ、その時代だからまあ大目に見てあげましょう。でもって、諏訪の姫をもらう時には一悶着ありました。武田家は甲斐の守護です。それが信濃を取ろうとして戦を何度も仕掛け、やっとこさ諏訪を手に入れました。ようはついこの間まで敵だったところの姫をもらうというのに対し、武田家、諏訪家とも反対するものが出ました。結果、ゴリ押ししてゲットしたわけですがこれがまたいい女なので三条さんは気に入らない。夜伽も自分のところには来ないで他の女ばっかり。特に湖衣姫のところで過ごす回数がすこぶる多く(まあ当然ですがな、若くて新しい方が………以下自粛)、でもってやる事やってますからすぐに身篭ったわけであります。


 で、四郎が生まれ最初は古府中に住んでいたのですが、湖衣姫の女中が立て続けに突然死する事件が勃発します。三条さんの家来が毒を盛ったというのが噂に流れて、四郎も原因不明の病気になり高熱が続きます。なんとか持ち直しまして助かりましたが、ここにいては殺されると、諏訪へ逃げ出しました。


「こんなところにいては四郎が殺されてしまいます。国へ帰らせていただきます」


 時代が違うのでそうは言わなかったかもしれませんが、晴信の許可をもらい諏訪へ引っ越しました。甲斐もいい温泉がありますが、諏訪にも温泉があります。特に諏訪の温泉は湯温が熱くあったまるため晴信は大好きでした。


 なので晴信専用温泉館を新築し、そこで夫婦仲良くお風呂ざんまい、混浴イチャイチャあんな事もこんな事もと、まあ戦が無い時限定ですがね。


 晴信はちょくちょく諏訪に現れて四郎と話をしていきました。


 さて、諏訪四郎ですが、年の割には頭が切れます。すでに字を学び、学問に励んでいます。また山の中なのを利用して部下に指示してアスレチックを作成。戦国版サ○ケみたいなやつです、で身体を鍛え始めました。えっ、なんでそんな知識あるの?おかしいだろうって。その通りです。


 実は諏訪四郎には大きな秘密がありました。それは、未来視です。甲斐で高熱が続いた時、脳裏に浮かぶ映像がありました。それは不思議な光景です、何やら四角い箱の中に人がいて飛んだり走ったりしているのです。


 たまに水に落ちたりして、人が悔しがっていました。最後は綱を登って拍手喝采、あれはなんなのだろう?


 わからないまま、面白そうと言うだけで山の中に似たような物を作り、子供ながらにそれを使って遊んでいます。それが結果的に体幹を鍛えて、将来役に立つ事は知らずに。


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