第3話 助けた子がご令嬢って反則じゃない?
入学式の日、まさかの昨日助けて女の子と同じ高校だった。
てか同じ高校生なんかい!
そう思いながらの再会を果たした祐樹。
(陰キャにとってはまたのないチャンス!)
だと思っていた時期が僕にもありました。
手な感じで続きをどうぞ!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お互いを見つめ合う二人。
……マジか、、まさか同じ高校だったなんて
「あの…聞こえてますか?」
女の子はうつむく僕に覗き込むように目線を合わせる。
「あああ、すいませんでした!」
僕はその場から逃げるように走り校門をくぐり、体育館に向かう。
「あ、待ってください!」
しかし、祐樹は緊張しすぎたのか、その言葉は届かず。
親はすでに保護者専用の椅子に座っており、僕もすぐに自分の席に座った。
入学式だからか、手汗が止まらず、おどおどした感じだが、さっき話しかけてくれた女の子から逃げてしまったことが情けなく、より一層緊張していた。
数分が経ち、校長先生が正面に立って話し始めた。
校長先生の言葉は全く入ってこず、気づいたら、入学式が終わっていた。
「え……もう終わったの?」
緊張しすぎて気づいたら入学式が終わっていた。
そんな感じで、自分のクラスに案内され、自分の席に座った。
公立皆三鷹高校はクラスが6組まであり、他の高校に比べて、少ない。
そんな中で僕のクラスは1年2組だった。
僕は災厄の事態が起きないよう祈るがその祈りは届かず。
例の女の子と同じクラスになったのだ。
そして例の女の子の正体もわかってしまったのだ。
少しクラスで待機していると担任の先生がやってきた。
「初めまして、俺がこのクラスの担任になった、小林亮だ。今年の新入生はご令嬢が多くてな、このクラスにも一人ご令嬢様がいるんだ。前に出て自己紹介を」
小林先生の態度には不満はあるが、今年はお金持ちが多く入学しているらしい。
その中で大手企業のご令嬢、そうその女の子が……
呼ばれた女の子は席を立ち、教卓の前に立つ。
「皆様、初めまして、橘玲香といいます」
その笑顔は教室の男子をメロメロにした。
そして僕はこの子を知っている。
なぜなら、この子は昨日助けた女の子なのだから。
玲香は自己紹介を軽く行い、そのまま自分の席に戻った。
「手な感じで、くれぐれも失礼のないようにな。話は変わるが今日の授業は特にない。連絡事項は今から渡す紙に全部書いてあるから、残りの時間は好きにしていいぞ」
そのまま紙を渡し、そのまま小林先生は教室を出ていった。
そして自由時間が始まった。
そう、、ここからが本番だ!
……ここで少しでも友達多く作り、楽しい陰キャなりの高校生ライフを!
そう思っていた矢先のことだ。
「あの、すいません」
ある女の子が俺に話しかけてきた。
予想はついている。
俺に話しかけてくる女の子なんて一人しかいない。
僕は真顔でその子の顔を見る。
「少しお時間をいただけないでしょうか?」
そう、ご令嬢、橘玲香さんだ。
僕は最初は「少し時間をください」とか言葉を考えたが、周りの目線がどうやら僕に向いているらしい。
それもそうだろう、なんて言ったってご令嬢に今、この僕は話しかけられているのだから。
「わかりました」
僕はそのまま玲香さんについていった。
……あ、あの周りの目線、高校生活三年間、友達ゼロかも
涙を堪えながらも、連れて行かれた場所は屋上だった。
「改めて、昨日は本当にありがとうございました!」
大きく頭を下げる玲香さん。
そんな姿をした玲花さんも美しかった。
「そんな、橘さんが頭を下げないでください」
「優しいですね、、それでお礼なんですけど」
「お礼は要りません。」
「ですが、それでは橘の名を背負っているものとして示しがつきません!」
僕は頭を抱えた。
見た目はお淑やかそうだけど、思ったよりも芯が強く、僕は少し羨ましいと思った。
「わかりました……」
僕は諦めることにした。
「ありがとうございます!」
……てか、ご令嬢がこんなに頭を下げて大丈夫なのか?
と思っていると
「で、お礼なんですけど、、」
僕はしっかりと耳を傾け、そのお礼を快く受け取る準備をしていた。
ご令嬢のお礼だ、、きっと自分の予想の斜め上をいくと思っていた。
『いくら欲しいですか?』
「うん?」
思わず声が裏返ってしまった。
「えーとですね、、もう一度言いますね…いくら欲しいですか?」
上目遣いで輝いた目で僕を見つめる。
どうやら、聞き間違えではないらしい。
「ではまた」
僕は屋上を出ようとすると
「待ってください!どうして帰ろうとするのですか!」
「すいません、僕にはやるべきことが、、」
「嘘です!絶対に嘘です!まさか……お金より欲しいものが!」
え、、そこに驚く?とふと思う。
間違いない、この子は考え方がずれている。
これがご令嬢か、、、
「何が欲しいんですか!」
「いや別に、、」
玲香は僕の制服をひっぱり離そうとしない。
「お礼をしないと気が済まないんです!」
「その気持ちだけで十分だよ」
と玲香さんと言い合いになってしまった。
僕は考えた。
簡単に整理すると玲香さんはお礼がしたい、なら玲香さんが納得するお礼を僕が貰えばいいわけだ。
けどお金は流石に貰えない。
なら、祐樹は考えていたら、ポロッと口に出してしまった。
「……名前」
「え?名前ですか?」
それを聞くと玲香さんは僕の制服から手を離した。
「なるほどわかりました。」
「え?」
「私のことを呼び捨てにして玲香と呼びたいと」
「…別にそんなことは」
「わかりました!」
僕はもう何も言わないことにした。
「ではこれからあなたが私のことを玲香と呼ぶなら私はあなたのことを祐樹くんと呼びます」
そう言って彼女が先に屋上を出ていった。
僕はもうこの状況を整理できなかった。
わかることは一つ、僕は友達作りに失敗したのだ。
「俺の楽しい陰キャ高校生ライフが、、、」
「2022年1月4日/改編」
キャラクター(その他)読み
水森 祐樹(みなもり ゆうき)
橘 玲香(たちばな れいか)
小林 亮(こばやし りょう)
皆三鷹高校(みなみたかこうこう)
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