26.剣舞祭へのエントリー

26.剣舞祭けんぶさいへのエントリー

 ―――俺がめでたくBランク冒険者になってから早二ヶ月。

 冒険者ギルドで依頼を受け、その報酬で例のギルド直営の宿に泊まりながらこの二ヶ月を過ごしてきた俺にとって、依頼を受けてこなしていくのはもうもはや日課になっている。最初の頃は薬草の採取やゴブリンなどの低級魔物の討伐とうばつだったのだが、ココ最近は依頼の難易度(?)とやらが上がってきてBやAランクの依頼を多くこなすようになってきている気がする。俺としてはどの依頼も全くもって難しいものではないので、早くSランクの依頼なども受けてみたいなと思っているところだ。でもそれにはまずAランク冒険者にならないといけないからな………


『リュート〜、今日はどんな依頼受けるのー?』

「うーん、この畑を荒らすビッグボア5体の討伐と橋を通る旅人をおそうブラッドベアー1体の討伐、どっちの方がやりがいがあるかなぁ……どっちもAランクだし……」

 ビッグボアは名前からしてただの大きいイノシシだろ?それでブッラドベアーってのは………血がたぎってる熊か?いずれにしろ簡単そうだな。

「――っと――く―――か、―――トよ」

 でも、ビッグボアは5体、ブラッドベアーは1体だけか………戦闘訓練になるのはビッグボアかな?

「―ょっと――く――いか、リ――トよ?」

 いやでも待てよ、今日は比較的早くギルドに来たから2つの依頼合わせても午前中に終わるかもしれないな………よし、そうと決まればどっちもやるしかねぇーな!

「―ょっと―てくれないか、リ――トッ!」

 よしっ!じゃあ早速このAランク依頼をミーシャさんのところに持って行こう!

 両方の依頼を同時に処理するために、依頼をがして後ろを振り返った瞬間、俺は何かデカいものにぶつかった。

「なんだよ………?ってマスラルさん ⁉ 」

「や――っと気づいたか!もう三回も声をかけたんだが?」

 え、マジすか?全然気づかなかったわ………ギルマス恐るべし………

「ア、アハハハ、ちょ、ちょっとぼーっとしてたので………」

「まぁいい、とりあえずちょっとこっちまでついてきてくれ」

 面倒なことじゃないといいけどな………


 数分後、俺はギルドマスター室から出てこれたが、いやーな司令を受け取ってしまった。

「ど、どうしたんですかリュートさん?」

「え、あ、マスラルさんにこれに行けって言われたんだよ………」

 俺はギルドの壁の一枚のポスターを指差して、ハァ〜と長い溜息をついた。

「剣舞祭ですか?あ、でもこの剣舞祭、昨日までがエントリー期間でしたよね?リュートさんはエントリーなされたんですか?」

「いいや、俺がこんな大掛かりな大会に出られるはずがないと思って止めておいたんだよ」

「えー、もったいない!リュートさんほどの実力があれば、剣舞祭でも十分に活躍できますよ!」

 そう、剣舞祭。俺は初め剣に舞うって書くから、剣を使った踊りの大会か何かだと思ってあえてエントリーしなかったのだが、先程マスラルに

『剣舞祭っていうのは剣だけでなく魔法も使用できる、全ての冒険者が憧れる一年に一度の武闘大会だろうがッ!』

 と一喝されて強制参加させられたのだ。

「まぁとにかく俺はこの剣舞祭とやらに出るつもりは全くもってなかったんだ。なのにマスラルさんってば、俺がエントリーしてないと知ったや否や、ギルドマスター権限で強引に俺を参加させやがったんだよ………全く権力ってのは!」

「あー、あはははっ………まぁ、エントリーしてしまったものは仕方がないですね!頑張ってきてください!ところで会場にはこのまま行かれるんですか?」

「このまま行く、って?」

「え、まさかリュートさん剣舞祭がいつ開催かご存知ないんですか?」

「あ、うん。知らないな」

「え〜〜〜!今日ですよ今日!って言うか、このあとすぐに始まっちゃいますぅ!」

「え、えぇぇぇぇぇぇぇっ ⁉ とりあえず行ってきますっ!」

「お気をつけて〜!」

 絶対ぇ、あの白髪ムキムキおっさん許さねぇからなぁ!!!

『どんまい、リュート』

『ドンマイですっ!!ご主人様!』

 なんかちょっとナビさん嬉しそうなの何なの ⁉


「えーっと、会場は街の中央の闘技場だから………ここで合ってそうだな!」

「おう、兄ちゃんも剣舞祭に参加するのか?」

「はい!あなたも参加者ですか?」

「あぁそうだ!お互い頑張ろうな!あ、兄ちゃん、受付はあっちだぜ?」

「ありがとうございます!」

 ミーシャさんに冒険者相手には敬語使うなって言われてたけど、なんか今の銀髪の人すごい貫禄かんろくみたいのがあって、思わず敬語使っちまったなぁ………あ、名前聞くの忘れてたけど、まぁ、いっか!

「こちらが受付になります」

「はい、俺はBランク冒険者のリュートって言います」

「あ、もしかしてあなたマスラルさんが今朝無理言って飛び込み参加させた人 ⁉ 」

「え ⁉ 」

 え、あの人今朝飛び込み参加させたの?流石に無理があるだろ………

「違うのですか?」

「あ、いえ、多分あってると思います」

「ではギルドカードをこちらにお見せください。―――はい、手続き完了です。あちらの方に今回の剣舞祭での対戦トーナメント表一覧が掲示されているのでご確認してください。ご健闘をお祈りしています」

「あぁ、行ってきます!」





リュートのステータス

Lv:46497

種族:50%人間

HP:測定不能エラー

MP:測定不能エラー

装備:ローブ(等級:測定不能)、剣(等級:測定不能)、指輪(等級:測定不能)

獲得スキル一覧:

(剣術系)縮地、絶対切断、次元切り、持久力、駆け足、神速移動、斬撃範囲拡張

(魔法系)苦痛耐性、錬金術、生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、聖魔法、闇魔法、時空魔法、空間魔法、ストレージ、ダストボックス、転移魔法、創造魔法、テイム、魔物意思疎通、魔物召喚、付与魔法、浮遊魔法、飛行魔法

(その他)手加減、自動解体、隠蔽、気配遮断

ユニークスキル一覧:ナビゲート、神眼、成長加速

称号:異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴、修行バカ、ドM気質、ドMを極めしもの、剣神、魔帝、鬼殺し、神を模倣する者、神龍の友、空の覇者

加護:神龍の加護

鮮変万華の技:

『炎刃』一式「絶火」二式「不殺の炎」

『風刃』一式「殺爪」

『炎風刃』一式「炎嵐」

『氷風刃』二式「凍龍」

『吸魔の太刀』滅光斬

『彩刃』一式「輝夜の舞」

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