08.新たな魔法
08.新たな魔法
俺は今日も剣を振っている。いくら『剣神』の称号を得たからといって油断しているわけではない。このところ、剣を勢いよく振るとたまに目の前がゆらっと動くことがある。
俺は地球にいた頃、武術の師匠が言っていた事を思い出した。剣の極地に至った者は、空間や時空が斬れるらしいと言うものだった。当然、俺の修行の目的はそれになった。
そしてついにある日、いつもより強く、そして早く剣を振っていると、少しだが、振っている剣に違和感が出てきた。それを確かめるべくもう一度強く振ってみたところ………
「オリャァァァア!」
―――ん?目の前に何かがあるように感じる。そこに何かがあるんだが、それはどんなに強く早く振っても切れなさそうな気がする。それでいてなんとなく切れそうな気もする。だが、この状態はとてつもなく腕全体に負荷がかかっている。少しでも気を抜けばその何かを見失いそうになってしまいそうだ。
「クッ………!!」
もっと、もっとだもっと!剣先に今あるありったけの力を込めて、この何かを斬る!
「ウオォォォォォォオォォォッ!!ぶった斬れろぉぉぉ!!」
その何かが斬れたのだろう、不意に剣先の力から解放され、俺は前につんのめってしまった。
肘の関節がもぎ取れそうなくらい痛い。相当な速さで振れたような気がする。いつもだったらここで、振り下ろしたあとに、ビュンッ!という音と共に風がゴウッ!と吹くのだが、今はなんの音も風も起きなかった。不思議に思って剣先を見ると、なんだか奥の見えない真っ白な空間がそこにはあった。大きさはだいたい直径1mくらいの円だ。
『なんと!これは “亜空間” ってやつですよご主人様!』
ナビさんがとても驚いたように声を上げた。
『こんなことしでかしたのは、天界にいる剣神様くらいしか見たことがないですっ!』
しでかしたって…………ってか一応いるにはいるんですね。ん?待てよ、剣神様 ⁉ まじもんの神様じゃん!俺、とうとう神様と同じことできちゃった ⁉ すると、
《スキル『時空魔法』『空間魔法』を獲得しました》
《称号『神を模倣する者』を獲得しました》
と例の音声が頭に流れた。
おっ!もしかしてこれは……………俺はこの二つの魔法を見てあることを思いついた。
「いっちょやってみるか!時空魔法と空間魔法を組み合わせて…………」
『いったいご主人様は何を作っているのですか?』
「異世界定番のあの便利スキルだよ。まぁ、見てろって!」
そう言って俺は右手に時空魔法を、左手に空間魔法を発動させ、それらを両手の中で押しつぶしてこね合わせるようにして融合させた。
《スキル『ストレージ』を獲得しました》
例の音声が頭に流れる。
「よっしゃぁ!できたぜ!」
『ご主人様、これは一体どのようなスキルなんですか?』
「あぁ、これはな時空魔法と空間魔法を組み合わせた容量無限かつ、中身の時間停止が可能なアイテムボックス的なものだ」
『すごい便利じゃないですか!』
「だろ?」
『新たにスキルを作るなんて凄いです!ですが、そんなことをして魔力は大丈夫なんですか?』
「え?」
ステータスを確認すると、五千万あったはずのMPはたったの5にまで減っていたのだ。
「なっ ⁉ やっぱり魔力消費エグかったんだな…………もう今日は早く寝て続きは明日にするか」
次の朝、あの薬草を川の魔力水で煮込んだ例の光る液体を飲んだ俺は、たちまち魔力が全回復した。俺は別に、魔力を全回復させなくても良かったのだが、ちょっといいことを思いついてしまったので全回復させた。
ゴブリンとの死闘では、俺の今使える最上位の魔法の威力がどんなものかわからなかった。(地獄の業火一発で終わっちまったからな…………)だから、また森をごっそり削ったりせずに魔法が打てる場所を探していたのだ。そこで俺は思いついてしまった。亜空間なら余裕で行けるんじゃね?と。それではでは早速、
「ストレージ、オープン!」
大きな白い円が俺の目の前に現れた。
『ご―人様!亜空間に―――、出―れたという例を―――とがあり―――ん!――ですから、お―――ください!』
なにかナビさんが言っているが、よく聞こえないから、俺はそのまま亜空間の中へ足を踏み入れた。
この時、俺は自分が「不運の象徴」だということを完全に忘れてしまっていたのだ。そして俺は後に後悔する、ナビさんの話をしっかり聞いておけばよかったと………
リュートのステータス
Lv:450
HP:25000000(二千五百万)
MP:50000000(五千万)
獲得スキル一覧:(剣術系)縮地、絶対切断、次元切り、持久力、駆け足、神速移動
(魔法系)苦痛耐性、錬金術、生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、聖魔法、闇魔法、時空魔法、空間魔法、ストレージ
ユニークスキル一覧:ナビゲート
称号:異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴、修行バカ、ドM気質、ドMを極めしもの、剣神、魔帝、鬼殺し、神を模倣する者
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