不運の象徴と呼ばれた少年、努力で異世界を無双する 〜努力で最強になった男の英雄譚〜
鷹藤ナス
第一章 龍殺しの森編
01.絶望のどん底にて
はじめに
神。それは
00.プロローグ
「え…何もないんですか?」
俺は神様の言葉に自分の耳を疑った。
「残念だけど堺くんには、これといったスキルが何もつかないんじゃ。わしじゃって、つけてあげたい気持ちは山ほどあるんじゃがのう」
俺は神にまで見捨てられたのか…………そう絶望したとき、
「おっ、一つだけつけられたぞ!」と神様が叫んだ。
俺の心に一筋の光が差した気がした。
第一章
01.絶望のどん底にて
ガハッ!親が家に帰ってきてからずっとこの調子だ。口を開けば罵詈雑言を浴びせられ、姿勢を崩せば蹴り飛ばされる。もう、心も体もボロボロだ。こんな家早く出ていきたい。いっそのことどこか遠くの異世界にでも連れてってほしい気分だ。
俺は、
俺の両親はともに一般企業で働いていた。いた、というのはどちらとも俺が幼いときに仕事を辞めてしまっているので、俺の記憶の中には働いている両親の姿はどこにもないからだ。
父親は大事な商談で失敗し、会社に大損害をもたらしてしまったので、会社をクビになったそうだ。母親は若い頃に剣道や柔道、空手などの武道を習っていたため、気性が荒く、上司に手を上げて会社をクビになったそうだ。
それからというもの両親は、将来のお前のためだと言って、俺にありとあらゆる勉強と訓練をさせた。まぁ、おそらく“自分のできなかったことを自分の子供にやらせたがる病”だろう。当時の俺はまだ8歳の小学生だったというのに。
英語、数学、歴史に化学………そのせいもあって小学校では大抵成績は一番だった。そして通っている武術の道場でもだいたい一番だった。一番でなかったときは家に帰ってからものすごい罵詈雑言と暴力の嵐だった。まぁ、今まさにそれを食らっているわけだが。
そんな感じで、俺は雨が降る中ベランダに突き出された。今が冬だったら凍え死ぬだろうな………今が夏で良かった。でも外はジメジメして大変居心地は悪い。
俺はベランダの手すりから下を覗いて早くこの終わりのない苦痛から開放されたいなと考えている。
「はぁ……誰でもいいから俺のことを解放してくれ……」
そう思ったときだった、
ツルッ!苔でも生えていたのだろうか。俺の目はあっという間に淀んだ空を見ていた。あれ?なんで俺は空を見ているんだ?しかも足が地面につかないぞ。
そんな事を考えていると、背中に猛烈な痛みが走った。手を動かそうとしたが、感覚がない。もぎれて取れてしまったのかと思うくらいだった。俺は手すりから下を覗き込んだ際に誤って手すりから落ちてしまったのだ。
普通の人なら、自分の胸の高さぐらいある手すりから落ちたりはしないだろう。だが俺には小学生のときにつけられた大変不名誉なあだ名があった。
"不運の象徴"
俺がじゃんけんに参加すれば必ずと言っていい程、一人負け。野球をしていれば隣のコートでプレイしていた人のバットが何故か飛んでくる。だから俺はいつしか周りからそう呼ばれるようになってしまったのだ。
あぁ、俺の人生はこんなものなのか。挙げ句、自分で滑って普通なら落ちないようなところから滑り落ちるのかよ。だっせぇなぁ・・・どうせならかっこよく死にたかったなぁ………まぁでもこれでやっとあのクソ親と解放されたわけだしな。結果的に俺の望みは叶ったってことかもな………
「お主―――堺――――――って―――みないか?」
俺は、薄れゆく意識の中、こちらを覗き込む一人の老人を見た気がしたが、もうそんなことどうでも良くなっていたので適当に首を縦に振った。
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