弟の心臓に起きたこと

星彩 涼

2021.11/27

 今日、弟が倒れた。部活中に起きた突然の出来事だったらしい。母と父が病院で付き添う中、私はただ1人、家で弟の帰りを待った。けれど彼は帰ってこなかった。病院で意識不明のままだった。

 弟は、“劇場型心筋炎”という病気だった。前兆なく、ものの数時間で病気が進行する型の心筋炎だと説明された。私の中に悲しいとか辛いとかはなかった。ただ、目の前で項垂れる両親と事の重大さに困惑と不安で何も考えられなかった。なんたって私と弟は昨日の夜、二人で私の好きなポルノグラフィティのライヴに参加したばかりだった。隣で元気にはしゃぐ弟を見ていたのだ。そして今朝も眠たげながら部活に向かう弟を見たばかりだった。そんな弟が人工心肺や人工呼吸器で管まみれになっているなんて、私は到底受け入れられなかった。

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