変わる関係

シヨゥ

第1話

「友達との関係がギクシャクしだしている?」

「そうなんだ。お前はそいつと知り合いじゃないからさ、第三者としてちょっとアドバイスが欲しくて話すんだけどさ。今まではすごく仲が良かったのに、ここ最近はまったく話が合わなくなってさ。一緒に居ても楽しくなくて。なんでだろうって気持ちでいるんだよね」

 相談を持ち掛けると彼は少し考えるように押し黙ると、

「お互いに環境の変化はあったか?」

 そう問いかけてきた。

「えーと……あいつがボランティア団体の活動に参加し始めたとかそれに含まれる?」

 と問いかければ、

「含むな。そして間違いなく原因はそこだ」

 と断定してきた。

「ボランティア団体への参加が? 別にいいことじゃないか」

「活動自体はな。問題は人間関係に対する影響だ。きっと参加することで考えの変化があったんだろうよ。なんか小うるさいなって思うことが増えたんじゃないか?」

「それは……あるかな。すぐ環境配慮がどうのって言うようになってさ」

「それが怒るほどではないけど気にかかるって感じだろう」

「うん」

「それはきっとそいつとの関係が変化したんだと思う」

「関係の変化?」

「そう。今までは話が合う友達だったんだろう?」

「そうだね」

「でも合わなくなった。ということは今の時点で話が合う友達じゃなくなったってことだ」

「たしかに」

「じゃあ他の視点からそいつと共通している部分ってあるか?」

「……ないかも」

「ということは友達から知人にランクダウンしているんだろう。なら無理につき合う必要はないさ」

「なんかそれは友達を切り捨てるようで」

「お互い気まずい思いしながら友達面しているほうが悪いっての。関係なんて変化し続けるもんだ。またくっつくこともあるだろう。そう思ってちょっと距離を取った方が互いのためだと思うぞ」

 そう強く勧められては、

「……分かった。試しにそうしてみるよ」

 と受け入れるしかなく。なんだかしこりが残りそうだなと思っていると、

「頑張れ。それとごめんな」

 応援とともに謝罪が返ってきた。

「どうしたの?」

「いやな。今のって解決方法じゃなくて回避方法なんだわ」

「分かっていたけども」

「だからごめんってこと」

 どこまでも彼は真摯だった。

「まぁ話を聞いてもらっただけですっきりしているから別にいいよ」

 話しを聞いてもらうだけで悩みの8割は解決するという。ならあとの2割を誰に補ってもらうかになる。それを彼に頼んだのはやはり真摯に取り組んでくれるからだ。

「話を聞いてくれてありがとう」

 そんな彼に最大限の感謝を。彼なくして対処の仕方を決めることはできなかったのだから。

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変わる関係 シヨゥ @Shiyoxu

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